課題曲

プロフェッショナルクラス(ディーラー・ユーザー共通) 課題曲その1

アーティスト: Anne-Sophie Mutter
アルバム:『Across The Stars』
トラック:【Tr.5 Donnybrook Fair[Based On "Blowing Off Steam" From "Far And Away"]】

ハイレゾ配信: https://www.e-onkyo.com/music/album/uml00028947975564/

CD盤:アマゾンで購入

プロフェッショナルクラス(ディーラー・ユーザー共通) 課題曲その2

アーティスト: ブルーノート・オールスターズ
アルバム:『Our Point Of View』
トラック:【Tr.10 フリーダム・ダンス】

ハイレゾ配信: https://www.e-onkyo.com/music/album/uml00602557774955/

​CD盤:アマゾンで購入

エキスパートクラス 課題曲その1

アーティスト: 宮田大, トーマス・ダウスゴー, BBCスコティッシュ交響楽団
アルバム:『エルガー:チェロ協奏曲/ヴォーン=ウィリアムズ:暗愁のパストラル』
トラック:【Tr.1 エルガー:チェロ協奏曲 第1楽章 Adagio - Moderato】

ハイレゾ配信: https://www.e-onkyo.com/music/album/cokm42470/

CD盤:アマゾンで購入

 

エキスパートクラス 課題曲その2

アーティスト: 椎名林檎
アルバム:『ニュートンの林檎』
トラック:【Tr.16 公然の秘密】(※CDはDisc2のTr.1)

ハイレゾ配信: https://www.e-onkyo.com/music/album/uml00602508402814/

​CD盤:アマゾンで購入

 

課題曲についてのご注意

・ハイレゾ音源、CD音源に関わらず違法コピーは法律で固く禁じられていますので絶対におやめください。

・審査時に使用する音源のファイル形式およびCDの国内盤/輸入盤等の指定はございません。

・レーベルやアーティストの事情等、不慮の事由により配信停止やCDが入荷未定となる場合もございますので、お早目の購入をお勧めいたします。 

審査員紹介(敬称略)

山之内 正(やまのうち ただし)

大学在学時よりコントラバスの演奏を始め、今でも市民オーケストラで演奏会にも出演。年に数回はオペラ鑑賞などの為、海外を訪れる。その知識はオーディオ装置の評論などにも確実に反映されています。2018年より当コンテスト審査員長を務めて頂いております。

和田 博巳(わだ ひろみ)

Stereo Sound誌を始め数々の雑誌の執筆活動のほか、音楽ディレクターとしても知られ、ミュージシャンらとの交流も深く、ハイエンドオーディオの講演などでも活躍されています。

 

鈴木 裕(すずき ゆたか)
車のみならず、ラジオディレクター・ライターとしても活躍中、オーディオアクセサリー誌での執筆活動を始めAuto Sound誌などでも執筆されています。車に対する造詣も深く、ユーザー様への的確なアドバイスが好評。

小原 由夫(おばら よしお)

オーディオビジュアル専門誌の執筆活動を始め、カーオーディオコンテストでも的確な審査・アドバイスがユーザーから好評を得ています。最近では『ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事 レビュー&奏法解説でグルーヴの秘密を探る』の執筆も行っています。​

炭山 アキラ(すみやま あきら)
オーディオアクセサリー誌での執筆を始め、自らオリジナルでスピーカーボックスを自作するなど、スピーカーユニットをメーカー問わず数多く触れ、見て、聞いており、ユニットに対するノウハウも多く持っています。

土方 久明(ひじかた ひさあき)
主に音元出版系媒体で活躍中のオーディオ評論家。ネットワークオーディオとPCオーディオに精通する新世代の評論家であり、様々なオーディオ誌にハイレゾ関連の執筆を行いながら、最近はオーディオ製品を取り扱う大手輸入商社でもハイレゾについて講義を行うなど、活発に活動中。

生形 三郎(うぶかた さぶろう)

音大卒の若手オーディオ評論家。オーディオ専門誌各誌での執筆活動の他、作曲や録音エンジニア業も営むなど、「演奏=録音=再生」の実践に基づく評論活動を展開。スピーカー設計も手掛け、自作4wayマルチをリファレンスに据えるなど、システム構築にも広い見識をお持ちです。

課題曲の聴きどころ

プロクラス 課題曲その1

アーティスト: Anne-Sophie Mutter
アルバム:『Across The Stars』
トラック:【Tr.5 Donnybrook Fair[Based On "Blowing Off Steam" From "Far And Away"]】

解説:山之内 正

広がりのある空間再現と精度の高い音像定位を両立させることが課題である。オーケストラは弦楽器群が密集せず余裕を持って左右に広がり、木管楽器と金管楽器は音像の焦点がにじまずに立体的な楽器イメージが浮かぶことが望ましい。独奏ヴァイオリンは特に低い音域で音像が広がりやすいが、音が出る瞬間のエネルギーを引き出すことによって、楽器の位置がぶれることなく、リアルな楽器イメージが定位する。アタックの正確な再現は音色を正確に鳴らし分けるうえでも重要な意味を持ち、リズムの正確な再現にもつながる。ステージ手前に定位する独奏ヴァイオリンとそのまわりに展開するオーケストラの遠近感を引き出すことにも気を配りたい。ジョン・ウィリアムズならではの変化に富んだオーケストレーションを味わうためには、遠くから鳴るトライアングルなど、微小な音まで精度高く再現することが求められる。

解説:和田 博巳

まずは、ムターのヴァイオリンだが、彼女のヴァイオリンはアタックが明瞭で、それもシャープというよりは、どちらかと言うとボリューム感があり艶っぽい。
総じてダイナミックな持ち味を特徴とするヴァイオリンなので、くれぐれもヒステリックな響きにならないように注意したい。オーケストラは補助マイクを多く
使った現代的な録音と分かるが、録音された音には神経質な印象は全く無いので、スムーズで緻密なサウンドのオーケストラが豊かに広がる、という感じになると好い。空間の広がりについても、願わくば弦楽の合奏から放たれるオーバートーンが頭上豊かにふわりと漂う、という感じになってほしい。コントラバスの最低音が甘くならずしっかりと録音されているところもマルチマイク録音ならでは。このコントラバスも存在感が豊かに感じられるように再生したい。

解説:鈴木 裕

アンネ・ゾフィー=ムターは深情けなメロディを弾くヴァイオリニストだ。歌が濃い、という言い方をしてもいい。楽器に張られている弦は、G線、D線、A線の3本はナイロンの芯にアルミの薄いテープを巻いたもの。E線はスティール製。まずこの楽器の音色がポイント。弓をべったり弾いたり、飛ばす奏法(スピッカート)による音の形の違いなども聴かせてほしい。オーケストラはマルチマイクによるもので、ステージの上の位置関係を反映しつつも、音量によっては音像が大きく、位置も前に出てくる場合もある。なぜ、ジョン・ウィリアムスの音楽が世界的に知られているのか。音の色彩感から、感情の込め方まで魅力満載な音楽だからだ。その魅力を再生してほしい。

 

解説:炭山 アキラ

ムターのバイオリンはかなり前方の定位だが松脂が飛び散る感じではなく、一定の節度を持つ。オケの音像もそれほど後方へ下がるわけではないが、ソロと混濁することなく、しっかり双方の独立性を保ちたい。コントラバスのピチカートにとんでもなく低い周波数帯のパルスが入っていることがあり、それをもたつかせずに再現できればあなたの装置は一流だ。音場は濃厚で広いが、わが家の装置では何となく無重力空間に浮遊するような印象を持った。その浮遊感をどう際立たせるかによって、全体の聴こえ方も変わってくることであろう。

プロクラス 課題曲その2

アーティスト: ブルーノート・オールスターズ
アルバム:『Our Point Of View』
トラック:【Tr.10 フリーダム・ダンス】

解説:山之内 正

ギターがリズムとアンサンブルの主役なので、ヴォーカルやサックスも含めて全体のバランスが偏らないように注意したい。特にベースとドラムの低音にエネルギーが乗りすぎると曲の中盤でサウンド全体のバランスが崩れ、導入部分のギターのキレの良い特殊奏法や後半の鋭いトランペットの効果が相対的に薄まってしまい、狙いがぼやける。ベースは一音一音すべてクリアに再現することがポイントで、発音タイミングを揃えながらドラムの低音と同期して正確に噛み合うように鳴らしたい。サックスは楽器イメージが広がりすぎないように注意し、ギターはスピーカー位置に張り付かず、空中に定位することが望ましい。ヴォーカルもリズム楽器的に使っているので前に飛び出さない鳴り方が正解だ。

解説:和田 博巳

イントロ部、リオーネル・ウェルケによるギターのタッピング奏法は、指先でごく軽くギター弦を叩く特殊な奏法だが、軽くタッチしていても、弦がフレットに当たるとかなりのノイズが発生する。そのパルス性のノイズが精細に感じられるとベストで、決して音のエッジを丸めたぬるい感じにならず、目の覚めるような音であってほしい。ギターソロの後の男声コーラスは、決してドライな声質にならぬよう、コーラス隊の体温までが感じられるとベストだ。5弦ベースもソフトなタッチで演奏されている。したがって、この温かみのある音色のままで良いが、それでもボケた感じにはならないように、ベースラインが太く逞しく明瞭に浮かび上がってほしい。管楽器のソロはストレートに録音されているので、眼前に見えるように生々しい音で、スネアも硬質にならず、そしてキックは逞しく、全体を支える安定感が必要だ。

解説:鈴木 裕

ブルーノートのここのところの音楽は日本人が聴くと、ジャズというよりもヒップホップに聞こえるが、このトラックもそうだ。33秒まではリオネル・ルエケのギターと思うが、その奏法、音の処理ともになかなかオリジナリティが高く、まずはその音色感や音のシャープさを聴きたいところ。ただし、音像の位置と大きさも大事で、その後のヴォーカルがギターよりも手前に、大きく定位してくる対比を見たい。1分29秒からのデリック・ホッジのベースもタッチや音色感と共に、締まった音像や、音圧が問題になってくるだろう。音楽的にどのあたりが適切なのか。質も絡んで来るのでまずはその設計図を研究してほしい。トランペット、ドラムス、サックスの音色的な加工度は低いので本来の音色を再現してほしい。

解説:炭山 アキラ

トランペットもサックスもギターもキーボードもボーカルも、ほぼ中心近くの極めて近い位置に定位するが、それらの存在感が曖昧になることなく、それぞれを独立させて表現することが大切である。ベースは極めて低いところで複雑なパッセージをこなしているから、ここがモヤついたら魅力が大きく損なわれる。ドラムは全域がパルシブで、音の"角"を明確に出してやりたい。全体にビートがしっかりと立っており、この活気を十分に引き出そうとするなら、やはり全域のハイスピード再生が大切になるだろう。パルスが上手く再生できないと、少しテンポが遅れた緩い演奏に聴こえてしまいがちである。

エキスパートクラス 課題曲その1


 アーティスト: 宮田大, トーマス・ダウスゴー, BBCスコティッシュ交響楽団
アルバム:『エルガー:チェロ協奏曲/ヴォーン=ウィリアムズ:暗愁のパストラル』
トラック:【Tr.1 エルガー:チェロ協奏曲 第1楽章 Adagio - Moderato】

解説:山之内 正

エルガーのチェロ協奏曲は全曲を通して聴くと旋律、リズム、和声いずれも変化に富み、起伏が大きな音楽が展開するのだが、第1楽章冒頭ではまだ混沌のなかにある。そこから次第に全体像が浮かび上がってくる流れと、一気に感情が盛り上がる最初のクライマックスをどう描き出すかが重要な視点の一つだ。たんなるもやもやとした情景ではなく、チェロからオーケストラの弦楽器へのスムーズな旋律の受け渡しや、楽器が次第に重なり最終的に大きなうねりを生むまでの変化を忠実に再現することで、その後の展開への視野が開ける。具体的には低弦と金管を中心にどこでどの楽器が加わるのか、正確に聴き取れるようなサウンドを意識して欲しい。協奏曲の録音としてはソロ楽器の音像を大きめにとらえているが、非常識なほどイメージが拡大しないように注意したい。

解説:鈴木 裕

重く、厚みのある宮田大のチェロの音。そしてBBCスコティッシュ交響楽団という、工業都市であるグラスゴーのオーケストラの、音量感や音の出し方がポイントだ。トゥッティでのごくごく低い帯域からエネルギーに満ちた、しかし表面的にはよく煮込んだビーフストロガノフのような渋い音色感が特徴と言える。各パートのよく溶け合った、練り込まれたようなハーモニー感もほしい。金管の底力のある”鳴り”も必須。サウンドステージ的にはマルチマイクを使っているが、ステージ上の音のうねりの濃密さにプライオリティがおかれている。最低域から高域まで再生するシステムに密度の高さを要求するサウンド。

解説:小原 由夫
ジャクリーヌ・デュ・プレの決定的名演盤が後の本楽曲の録音制作に多大な影響をおよぼしてきたのだが、敢えてそれに抗しようとせず、ひたすらエモーショナルに情念をたぎらせたようなチェロの熱演をリアルに響かせたい。それは超接写レンズで捉えたごとく、奏者ににじり寄った音像定位と、時に歪んだ音さえ生々しく感じるほどのリアリティで迫る。音場感については、独奏チェロとオーケストラとの明確な主従関係がステレオイメージに現われているので、注意深く聴いてほしい。ここではオーケストラを目立たせてはいけない。あくまでチェロのサポートである。

解説:土方 久明

ソリスト(今回はチェロ)が存在する協奏曲ということで、チェロとオーケストラの2つの表現力が求められる。まずは左右の音場バランスと、音の透明感が損なわれていないか、ここは最も基本的な部分だ。そして曲冒頭、独奏チェロの重音の表現に注視して頂きたい(プロフェッショナルクラスのムターの低域楽器の表現と比べるとわかりやすい)チェロのアコースティックな質感とリアリティは楽曲を通して求めたいが、0:47からは小レベルの音の明瞭度と余韻表現を含む空気感、そして2:35からの抑揚表現の追従力も聴かせどころ。

解説:生形 三郎

【音像の明瞭度、空間表現力】
 冒頭、ソロチェロの重音と同時に、バックのチェロとコントラバスが入ってきますが、ソロチェロは、広がり感のあるステレオ音像でセンターに定位し、それに対しバックの低弦は右チャンネルが強めに出て来ます。特に序盤は、ソロとオケの音像の対比の明瞭度が試されるポイントでしょう。この音源は、空間再現の肝となる超高域の音圧は控えめですが、それでも、0:53からのソロチェロや、その後に続く繊細な弦楽器による箇所は、音の余韻や響きがしっかりと聴き取れるようにしたいところです。
 
【各帯域のサウンドクオリティと帯域バランス】
 先述のように高域側のエネルギーが控えめで、主役のチェロをはじめとして、バックのオーケストラも楽器を問わず穏やかな音色に仕上げられていますので、再生システム側でも高域側がロールオフしたり低域側が過多になると、全体的に不明瞭な再生になり易いでしょう。音楽を支えるコントラバスの低域量感はしっかりと再生しつつも、ソロチェロの質感は勿論、弦楽セクションのピアニシモや、木管楽器の重なりなども、適切なディティール表現の確保に留意し、茫洋・平板にならないようにしましょう。
 超低域方向はエネルギーがしっかり入っているので、コントラバスの存在は滲まずに再現しておきたいです。マイクスタンド等を伝って録音されてしまったのか、聴き取りやすいところでは、1:57、2:09や2:14に、50Hz以下を含む超低域ノイズが瞬間的に入ってきます(2分過ぎからは小さいものを含めるともっと入っていますが)。その音の輪郭や存在を明瞭に再生できているかが、音響的に分かりやすい低域チェックポイントになりそうです。
 
【ダイナミックレンジとS/N感】
 冒頭のソロチェロの弱音部から3分付近のピークまで、優に40dB程の音圧変化がある、大変ダイナミックレンジを広く持たせた音源となっていますので、そのダイナミックレンジの広さを充分に描き出す必要があるでしょう。弱音部の演奏が埋もれないよう充分なS/N感を確保しつつ、2:47からは大きな盛り上がりを見せますので、そこで歪みっぽさが出ないよう、しっかりと調整したいところです。
 
【全体観】
 やはり、主役のソロチェロの音色感や、演奏の情感表現が主眼になるでしょう。如何に説得力を持って聴き手に訴えるかをチェックポイントとします。

エキスパートクラス 課題曲その2 

アーティスト: 椎名林檎
アルバム:『ニュートンの林檎』
トラック:【Tr.16 公然の秘密】(※CDはDisc2のTr.1)

 

解説:山之内 正

センターのヴォーカルやや後方にベースとドラムが定位するものの、サウンドステージは基本的に左右に展開し、前後方向の立体感を引き出すことはあまり意識しなくていい。ホーン楽器、ギター、そしてコーラスの動きが埋もれず、楽器ごとの旋律とリズムがくっきり浮かび上がるような音を目指したいが、立体感が乏しいなかでは限界もある。ホームオーディオの良質なシステムでどう聴こえるのか、あらかじめ確認したうえで、各楽器間のバランスや位置関係を精度高く再現することが望ましい。加工されたヴォーカルの面白さに焦点を合わせて追い込むアプローチもあり得るが、その場合も他の楽器の混濁や飽和は最小限にとどめるべきだ。

解説:鈴木 裕

ヴォーカルにもバックのバンドにもストリングスにもそれぞれコンプレッサーがかけられており、かなり”際(きわ)”を狙ったサウンドメイクであり、録音だ。実は打ち込みではなく、全パート、生身の人間がプレイしている。再生するシステム自体に歪みっぽさや位相が狂っているところがあると馬脚を現してします。サウンドステージ的には、奥行きは浅いがヴォーカルはきちんと定位しており、他の楽器によってマスキングされていない。チューブラーベルズの音はコンプレッサーの度合いが低く、音色的にも加工されていないので、ここがひとつの基準になるかもしれない。

解説:小原 由夫

ロック/ポップス/歌謡曲のエッセンスをちりばめながら、ジャズ的要素にブラスセクション、ストリングスオーケストラまで擁したゴージャスかつアーバンなアレンジを、まずはしっかり解きほぐして再現すること。何かの楽器が埋もれてしまって聴き取りにくいようでは困る。椎名の声はくっきりとセンター定位するものの、楽器の質感再現やバランスが狂っていると、ハイ上がりのうるさい音に聞こえがちな危険性をしっかり認識して調整してほしい。ギターソロの切れ味、アコースティックベースの跳ねるようなビートもポイント。3分ちょうどというコンパクトな演奏時間も具合よく、最後の短いドラムソロまでは審査したいところだ。

解説:土方 久明

私の知る限りここ数年で発売されたJ-Popの中でも音圧が高く、ある意味チャレンジングな音源だ。本楽曲の場合はイントロが強烈なので、そこに影響されないよう、まずボリューム設定に気を使って頂きたい。ボリュームが低すぎると音像や楽器が引っ込んで聞こえてしまうのでオーバーオールの印象が悪くなる。0:14から始まるボーカルでは、音像定位を確認するが、本楽曲における彼女の口元はコンパクトでシャープに定位する。ベースの量感で低域の帯域バランスを確認しつつ、高域の帯域バランスについては1:03位から始まるエレキギターの質感があまりにもうるさく聞こえるないように。そして1:14のエレキベースのリアリティで改めて低域のサウンドクウォリティが確認される。

解説:生形 三郎

【音像の明瞭度、空間表現力】
定位に関しては、汎用的なVectorscope等で解析すると分かるように、ヴォーカルとベースとドラム(タムタム以外)が、広がりを持たずに真ん中へと位置するのが音源本来の定位でしょう。ヴォーカルは左右チャンネルがほぼ同相信号となっているため、音像定位再現が明瞭なシステムほど、歌声がセンターへと針のように細く定位するはずです。そして、ストリングスやブラスセクションが左右からそれらを取り巻くと共に、コーラスが左右チャンネル両端に振られ、ギターやヴィヴラフォンなどはセンターの少し左右に振られています。センターに固められた歌声や楽器と、それを取り巻く様々なステレオ要素とがなるべく対比を持つとともに、個々がしっかりと明瞭な音像で定位するかをチェックします。
 
【各帯域のサウンドクオリティと帯域バランス】
低域側は、最低域は、50Hz~60Hzに中心エネルギーを持ったバスドラムがボトムを担い、そこから100Hzあたりまでかけてベースの中心エネルギーがある構成です。50Hz以下は比較的急峻にロールオフしているのでローエンドの沈み込み感はさほどでもなく、音圧変化や余韻描写も控えめなので、その限られた表現の中で、リズム隊の両者がなるべく団子にならず明解に聞き分けられるかをチェックします。
中域から高域にかけては、少し歪みっぽいヴォーカルと、明瞭なスネア、明るい音色のブラスやストリングセクションと、華やかな音作りが並びますので、それらが元の音源以上に歪みっぽく五月蠅くならずに再生できるかをチェックポイントとします。
 
【ダイナミックレンジとS/N感】
ダイナミックレンジが意図的にかなり圧縮された音源となっており、それだけに多くの楽器が音圧高く詰め込まれていますので、再生システム由来の歪み要素が多くなると再生音がすぐに飽和してしまうでしょう。しかしながら、かといって必要以上に大人しくなり過ぎたり抑制感が強く表現されてしまうのは好ましくありませんので、そちらも留意しつつ、ナチュラルなシステム構築を目指したいところです。
 
【全体観】
この音源は、やはり軽妙さ楽しさといったところに主眼があると言えそうですので、全体としては、そういった楽しさや軽さが積極的に聴き手に伝わってくるかをチェックポイントとします。

評価項目

・オーバーオール 

音質の総合評価。帯域バランス(トーンバランス)、情報量、fレンジ(高域から低域までの広さ)、ダイナミックレン ジ、フォーカス、サウンドステージなど、後述するオーディオ的な指標のほか、音の立ち上がり、前方への飛び出し、透明感も考慮される。これらの項目をバランス良く備えていることが望ましい。
特に、fレンジ、帯域バランス、透明感はオーバーオールの印象を決める前提となり、この部分が不足していると挽回するのが難しくなる。オーバーオールはコンテストにおいて重要な項目といえるだろう。


・帯域バランス 
低音、中音、高音の音量と質感のバランスのこと。量、質感とも均一に表現することで、アーティストや製作者が伝えたい音を“正しい解釈で再生”することができる。低域が多いと迫力は増すが意図とは外れてしまうし、反対に少ないと痩せ細ったサウンドになってしまう。高域が多いと解像感は上がるが耳障りなサウンドになりやすい。特にアコースティック楽器やボーカルの質感に影響を及ぼすので、原音に忠実な表現を求めたい。

高音
シンバル、バイオリン、ピッコロ

中音
ピアノ、声、テナーサックス、スネア、タム、バリトン、ビオラ、 チェロ

低音
ピアノ、バスドラム、ベース

・音像の明瞭度 
ジャズ・ボーカルやポップスであればボーカル、クラシックの協奏曲であれば、ソリストが演奏する楽器の“明瞭度と定位”を表す。センターにボーカルがある楽曲は、同じようにダッシュボードのセンター付近に音像を定位させたい。さらに上級者はバックミュージックに対して、前に飛び出る/奥に引っ込める、いわゆる前後の定位も考えたい。ソリストの楽器については左右に動く場合も多い(楽曲によって大きく異なる)ので、バックミュージックに対して描き分けて、移動の位置関係が表現できればベストだ。


・空間表現力 

目の前に展開する空間の拡がり。サウンドステージとも言われている。例えばオーケストラであれは、左右が広く、上下の高さや奥行を立体的に表現させたい。(イメージが分からない方は、オーケストラのステージを離れた観客席から見た画像などを参考に)ダッシュボードに対して平行でなかったり、左右のどちらかだけが広かっている場合は点数が低くなる。

・ダイナミックレンジ 
大きい音と小さい音の差の比率。一般的に音楽は穏やかな表現で演奏される時は音量が低くなり、反対に盛り上がる時は音量が大きくなる。特にクラシックでは音量差が大きく、ダイナミックレンジを評価する大きな尺度となる。小音量では聴感上のSN比が高く、1つ1つの楽器が明瞭に聞こえることが好ましく、大音量時には歪みなく原音に忠実な迫力が備わっていると抑揚が豊かになるので印象が良い。

・S/N 感 
信号に対するノイズの比率。参考ボリュームでの無音時に”サー” というシステムノイズが出てしまうと減点対象になる。また音に透明感がなかったり聴感上の S/N 感が悪いと小レベルの明瞭度やボーカルのニュアンス表現に悪影響を及ぼすので注意したい。

 

​解説・土方 久明

​審査用紙のサンプルはコチラから確認出来ます。

審査員担当コース

西日本会場

ディーラープロコース   鈴木 裕

ユーザープロコースA  山之内 正

ユーザープロコースB  山之内 正

ジャンラインコース    鈴木 裕

佐藤商事コース     生形 三郎

フェリースソニードコース 小原 由夫

エムズラインコース   小原 由夫

トライムコース      生形 三郎

東日本会場

ディーラープロコース   鈴木 裕

ユーザープロコースA・B 和田 博巳

ユーザープロコースC・D 炭山 アキラ

ジャンラインコース    土方 久明

佐藤商事コース     鈴木 裕

フェリースソニードコース 山之内 正

エムズラインコース   山之内 正

トライムコース      土方 久明

審査時の注意事項

・審査時の車内の録画・撮影は禁止です。ドライブレコーダーやレーダー探知機等の電源は必ずOFFにしておいてください。

・審査終了後の審査員コメントの録音は可能ですが、審査員や審査用紙の録画・撮影は禁止です。

・審査員は正確な審査を行うために、一定台数おきに採点確認を行い、採点を見直しています。

・審査中(課題曲の変更時を含む)は、アナログのボリューム調整以外の目的で車内に乗り込む事はできません。


また如何なる理由があっても審査中は調整メモリー等の変更はできません。