課題曲
■課 題 曲■
エントリーされるクラスの課題曲2曲をエントラント各自でご用意ください。(審査には2曲共に使用します)
プロクラス
アーティスト Roman Simovic, Sir Simon Rattle, Kevin John Edusei, London Symphony Orchestra
アルバム Rózsa: Violin Concerto - Bartók: Violin Concerto No. 2
トラック トラック3:Violin Concerto, Op. 24 (M.Rozsa) III. Allegro vivace
ハイレゾ配信 https://www.qobuz.com/jp-ja/album/rozsa-violin-concerto-bartok-violin-concerto-no-2-roman-simovic-sir-simon-rattle-kevin-john-edusei-london-symphony-orchestra/jl9tyoqbyr8pb
アーティスト Maggie Rogers(マギー・ロジャース)
アルバム Heard It In A Past Life
トラック トラック4:Alaska
ハイレゾ配信 https://www.qobuz.com/jp-ja/album/heard-it-in-a-past-life-maggie-rogers/x2evuyurghzmc
※ディーラープロコース/ユーザープロコース共通の課題曲となります。
エキスパートクラス
アーティスト Kian Soltani - Camerata Salzburg
アルバム キアン・ソルターニ / シューマン
トラック トラック4:チェロ協奏曲 イ短調 作品129 (Robert Schumann) 第3楽章: Sehr lebhaft
ハイレゾ配信 https://www.qobuz.com/jp-ja/album/schumann-kian-soltani-camerata-salzburg/vf94yne3f3dma
アーティスト Jacob Collier(ジェイコブ・コリアー)
アルバム Djesse Vol. 4 (Deluxe)
トラック トラック2:シー・プット・サンシャイン
ハイレゾ配信 https://www.qobuz.com/jp-ja/album/djesse-vol-4-deluxe-jacob-collier/rl8cwbhgcj6vb
※楽曲により録音レベルに差がございますので再生する際にはご注意ください。
アニソンクラス
アーティスト 芸能山城組
アルバム Symphonic Suite AKIRA 2016 ハイパーハイレゾエディション
トラック トラック1:金田 KANEDA
ハイレゾ配信 https://www.qobuz.com/jp-ja/album/symphonic-suite-akira-2016-/jaj7gda0ngwfa
アーティスト 中川 翔子
アルバム ACROSS THE WORLD
トラック トラック1:ACROSS THE WORLD
ハイレゾ配信 https://www.qobuz.com/jp-ja/album/across-the-world-shoko-nakagawa/sjgd153wprcmb
課題曲についてのご注意
・ハイレゾ音源、CD音源に関わらず違法コピーは法律で固く禁じられていますので絶対におやめください。
・配信停止となる場合もございますので、お早めのご購入をお勧めします。
審査員紹介(敬称略)
山之内 正(やまのうち ただし)
大学在学時よりコントラバスの演奏を始め、今でも市民オーケストラで演奏会にも出演。年に数回はオペラ鑑賞などの為、海外を訪れる。その知識はオーディオ装置の評論などにも確実に反映されています。
小原 由夫(おばら よしお)
オーディオビジュアル専門誌の執筆活動を始め、カーオーディオコンテストでも的確な審査・アドバイスがユーザーから好評を得ています。最近では『ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事 レビュー&奏法解説でグルーヴの秘密を探る』の執筆も行っています。2025年より当コンテストの審査員長を務めて頂きます。
炭山 アキラ(すみやま あきら)
オーディオアクセサリーの執筆を始め、自らオリジナルでスピーカーボックスを自作するなど、スピーカーユニットをメーカー問わず数多く触れ、見て、聞いており、ユニットに対するノウハウも多く持っています。
土方 久明(ひじかた ひさあき)
主に音元出版系媒体で活躍中のオーディオ評論家。ネットワークオーディオとPCオーディオに精通する新世代の評論家であり、様々なオーディオ誌にハイレゾ関連の執筆を行いながら、最近はオーディオ製品を取り扱う大手輸入商社でもハイレゾについて講義を行うなど、活発に活動中。
飯田 有抄(いいだ ありさ)
クラシック音楽ファシリテーター。音楽専門雑誌、オーディオ雑誌、書籍、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジンなどの執筆・翻訳のほか、音楽イベントでの司会、演奏、プレトーク、セミナー講師の仕事に従事。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。
栗原 祥光(くりはら よしみつ)
通信機器メーカーでエンジニアとして従事した後、ステレオサウンドに入社。長年に渡りステレオサウンド誌の新製品コーナーを担当する。その後、KADOKAWAへ転職し情報誌を担当。現在はフリーランスのライターおよびカメラマンとして、年100台前後の自動車取材を行っている。自宅システムについてはステレオサウンド230号に詳報がある。
峯岸 良行(みねぎし よしゆき)
prime sound studio form所属エンジニアとして活動、ミックスエンジニアとして多くのアーティストの作品に携わる。またイマーシブサウンドテクノロジーをいち早く取り入れ、映画や舞台の 3Dサウンドを制作してきた。近年はミキシングの経験を生かし、音楽スタジオの音響や音響機器の調整も行う。名古屋芸術大学非常勤講師 。
生形 三郎(うぶかた さぶろう)
音大卒の若手オーディオ評論家。オーディオ専門誌各誌での執筆活動の他に、作曲や録音エンジニア業も営むなど、「演奏=録音=再生」の実践に基づく評論活動を展開。スピーカー設計も手掛け、自作4way マルチをリファレンスに据えるなど、システム構築にも広い見識をお持ちです。洗足学園音楽大学音楽・音響デザインコース講師。
課題曲の聴きどころ
プロクラス 課題曲1
ロマン・シモヴィチ
鮮鋭なリズムとアグレッシブに進む音楽の運動性を引き出すことがテーマで、発音の速さと音の勢いを忠実に再現することが求められる。特に低音楽器と金管楽器の時間応答を正確に再現できるかどうかがカギを握る。どの音域でも音を余分に引きずる振る舞いは減点につながる。打楽器と独奏ヴァイオリンのバランスも前者が重くなりすぎないように注意しよう。独奏パートは技巧的なフレーズが聴かせどころの一つだが、次元の高い表現を目指すには、細かい音型を精度高く再現することよりも、圧力と速さを含めた弓使いの特徴を引き出すことを意識するのが重要だ。打楽器と金管楽器の音はできるだけ短く再現することが秘訣。
プロクラス 課題曲2
マギー・ロジャース
付帯音やにじみのないクリアなヴォーカルを再現することが第一の課題で、メインヴォーカルだけでなく、高音域でコーラス的に繰り返すフレーズについても、素直に歌詞のリズムを感じられるようにすることが望ましい。声にまとわりつく余分な音は減点の対象となるので注意しよう。ベースの扱いがこの曲を再生するうえで第二の課題だ。音符の長さを正確に再現しつつ、澄んだ見通しの良い低音を引き出すことを狙いたい。ベースは特にローエンドの帯域でモコモコとぼやけた音にならないことが重要。サブウーファーの音域まで澄んだ質感を確保し、ヴォーカルにかぶらないようにしたい。歌詞にシンクロしてエアー感のある低音を引き出すことができれば高得点につながる。
解説:山之内 正
プロクラス 課題曲1
ロマン・シモヴィチ
ロンドン響のコンサートマスター/シモヴィッチによるローザのヴァイオリン協奏曲は、ハイテンションで繰り広げられる超絶技巧の連続だ。孤高のヴァイオリン奏者ハイフェッツの委嘱を受けて1956年に完成されたその第三楽章は、まさしくヴィルトゥオーゾ、ハイフェッツならではのテクニックの見本市。冒頭から小気味よくリズムが刻まれ、パワフルかつダイナミックな、畳み掛けるようなオーケストラ演奏の後、ヴァイオリンが入ってきて打楽器と丁々発止した後に、メロディーは一転して流暢になる。そこには微細なテクニックが織り込まれ、スタッカートのリズムを次第にはらみ始める。約3分の中で、楽章冒頭から前半はシステムの切れとトランジェントが要求され、中盤では滑らかさと艶やかさをいかに醸し出せるか、そして後半では再びリズムの熱っぽさの表現が試される。
プロクラス 課題曲2
マギー・ロジャース
アラスカを訪れた際の実体験をベースに書かれたとされている、マギー・ロジャースのデビュー・シングル。ヴォーカルがメインのそれと合わせて重ねられ、実在的な定位感はシャープ過ぎない音像を伴う。雑踏のような背景音も曖昧にならないよう意識したいが、それもこれも、重たいけれども尾を引かない打楽器のリズムと、ドラムンベース的な深いエンベロープを有したビートの重厚な安定感が支配するため、その描き分けはとりわけ難しい。前述の雑踏は、そちらばかりに気を取られないようにするためのステレオイメージのチェックポイントにもなり得るわけだ。
解説:小原 由夫
プロクラス 課題曲1
ロマン・シモヴィチ
再生ボタンを押した瞬間、強烈なトゥッティが響き渡り、リスナーの心をつかむ。ダイナミックな抑揚表現はアンプの性能を試す重要な要素となり、楽曲の壮大さを左右する低音域のリアリティ や高音域から低音域までの fレンジの広さも求められる。本楽曲では、最初の10秒が第一印象を決定づけるかもしれない。以前からお話ししているように、オーケストラは楽器の数が多く、アコースティック楽器らしさを表現する質感の再現性も含め、システム全体の能力が試される。0:49 から登場するソリストのヴァイオリンでは、センター付近の定位感や弦楽器の繊細な演奏の強弱が求められる。
ヴァイオリンに呼応するような打楽器は、重量感とともに低音の過渡応答の良さも求められるだろう。協奏曲では、オーケストラの表現力に加え、ソリストの個性や存在感という2つの再現性が求められる。
プロクラス 課題曲2
マギー・ロジャース
全体的な音色は帯域バランスに癖が少なく、ニュートラルかつナチュラルな質感を持つ。本楽曲の難しさとして、イントロから始まる低音楽器の表現 で、適度な沈み込みと弾力感を両立しつつ、センターから左右へと広がる定位の正確さも求められる。0:27秒前後から、低音楽器の表情が変化し、その質感の違いを捉えることがポイントとなる。ボーカルは、バックミュージック同様にナチュラルで、センターに定位させながら、音色が鋭くなりすぎないように調整したい。0:46くらいから、声の出し方が変わるため、その表情の変化を捉えることも重要になる。また、左右に広がるコーラス によって横方向の音場のバランスが確認できる。
解説:土方 久明
プロクラス 課題曲1
ロマン・シモヴィチ
ローザのヴァイオリン協奏曲 第3楽章は、勢いのあるフレージングと緻密な対話が魅力の躍動的な楽章。ロマン・シモヴィッチの鮮烈なソロとロンドン響の機敏なアンサンブルが高度に融合し、リズムの切れと推進力が際立つ。過渡応答性では、ヴァイオリンの速いパッセージや跳躍音型を明瞭かつ粒立ちよく再現できるかが重要。帯域バランスは中高域が前面に出ており、低域は控えめだがタイト。重厚さよりも明晰さが求められる録音である。
音像定位については、ソリストのヴァイオリンはセンター付近に位置するものの、録音特性としてフレーズによってわずかに動きが生じる。明確な固定感を再生するには、定位の安定性と追従性が求められる。空間表現については、録音自体が比較的ドライで奥行きの演出は控えめ。その分、楽器の音が前に出る印象を強め、リズムの明快さを強調する。全体としては、音のスピード感とニュアンスの再現性、そしてタイトなバランスが試されるトラックであり、コンディションの整った再生環境が作品の持ち味を引き出す鍵となる。
プロクラス 課題曲2
マギー・ロジャース
「Alaska」は、Maggie Rogersの繊細なボーカルと、ミニマルなビートが組み合わさった静謐な魅力を持つ楽曲。中域を中心に構成されたトーンバランスの中で、異なるピッチのボーカルレイヤーが重ねられ、幻想的な広がりを生み出している。とくにピッチの低い成分やエフェクト処理により、音像に揺らぎと奥行きの錯覚が加わり、実際の空間以上の情景的広がりを感じさせる仕上がりとなっている。
オーバーオールでは、音の立ち上がりは緩やかだが丁寧で、輪郭の柔らかさが楽曲の雰囲気を支えている。帯域バランスは中低域に重心があり、ベースとキックは控えめながら芯があり、ボーカルが過剰にならずに自然に浮かび上がる。高域は滑らかで、過度な主張はないが、リズム素材の細部や背景に配置されたエフェクトの描写でその質が問われる。
空間表現は左右方向に広く、センターのボーカルに対し、音場の端までしなやかに広がる空気感が特徴。奥行き感はやや浅めだが、音が包み込むような構成が全体の立体感を補っている。音像の明瞭度は、重ねられた声の分離と定位の安定性が鍵。過渡応答性ではビートのキレや粒立ちを損なわず、滑らかでありながら緩みのない再現が望まれる。トーンの美しさと空間の魅力を両立するバランスの良い再生が求められる一曲。
解説:峯岸 良行
エキスパートクラス 課題曲1
キアン・ソルターニ
独奏チェロとオーケストラどちらも歯切れの良い音で「生き生きとした」躍動的な表情を引き出すことが最大の課題。独奏パートは音域が広く、低音弦はコントラバスと一部が重なり、高音弦の高いポジションはヴァイオリンと同じ音域まで伸びている。低音は深く豊かな響き、高音は艷やかな音色が求められるが、この演奏では最高音域まで潤いを失わずに柔らかい音を引き出すことも意識したい。独奏楽器を大きめにとらえた録音なので、楽器イメージを引き締めることを狙いすぎて音が萎縮しないように注意すること。独奏だけでなく弦楽器や木管楽器もアタックを鮮明に再現すると、ソロとオーケストラのリズムが正確に噛み合う。
エキスパートクラス 課題曲2
ジェイコブ・コリアー
一度聴けば忘れないほどシンプルなメロディだが、単調さを感じさせないのは、短い音の連なりをスパイス的に追加した手の込んだ音作りが効果を発揮しているからだ。ヴォーカルをクリアに再現するだけでなく、そのスパイス的な音の質感を確保することが肝心。さらにリズムを刻む短い音符を一音一音正確に再現することも不可欠だ。特にベースが重くなりすぎるとテンポが停滞するので、音圧過剰になってふくらまないように低音の質感を高めることを心がけたい。後半のコーラスはハーモニーの厚みと広がりをどこまで引き出すことができるか、前後左右に広がるサウンドステージの再現力が問われる。
解説:山之内 正
エキスパートクラス 課題曲1
キアン・ソルターニ
19世紀ドイツ・ロマン派を代表する作曲家ロベルト・シューマンが、比較的晩年(1850年)に作曲したチェロ協奏曲。作品は3つの楽章で構成されるが、全体は切れ目なく続けて演奏される。よってこの第3楽章も、本来は第2楽章から続けて聴かれるトラックである。
冒頭から3つの和音をオーケストラ全体が歯切れ良く鳴らし、すぐに独奏チェロが広い音域を駆け上がる短いメロディを奏でる。これがこの楽章の基本モチーフであり、表情を繊細に変えながら何度も登場する。オーケストラの弾むような響きと豊かな低音、ソリストの滑舌のよい弓さばきと、個々のモチーフに持たせる音色変化を楽しく聴き出したい。アタックは鋭く、短い音符の多いモチーフが続くが、短い中にもきちんとピッチ(音高)や表情が感じられる演奏であるため、丁寧に再現していただきたい。ダイナミクスの起伏も豊かである。重ね合わされた楽器の数でも、音量や音圧が豊かに変わるため、その表現力も大切にしたい。
独奏は1992年生まれの気鋭のチェリスト、キアン・ソルターニ。瑞々しくも深みのある音色を聴かせる奏者として注目されている。カメラータ・ザルツブルクはオーストリアの室内オーケストラで、現在は指揮者を置かずにコンサートマスターを中心に音楽作りを進める。コンパクトな編成ながら奥行きと一体感のあるサウンドを届ける。
エキスパートクラス 課題曲2
ジェイコブ・コリアー
刻まれ続けるクリック音のようなリズムの気持ちのよい立ち上がり、ヴォーカル(高音のコーラスなどがうっすらと重ねられている)の奥行きや耳あたりの良さ、自左右に振り分けられる声や音の面白さ、時折聞き出せるやや懐かしい音色のシンセサイザー、そして電子音響的なノイズなど、素敵な玩具箱がひっくり返ったような聴きどころ満載のトラック。太陽のような明るさ、暖かさ、笑顔をもつ「彼女」のことを歌いつつ、ちょっぴり不思議な世界観をもったヴォーカル曲である。
英国出身のジェイコブ・コリアーは多重録音を得意とするマルチプレイヤーで、ジャンルの垣根を軽々と超えるミュージシャンだ。このトラックでも、上述のようなサウンドの特徴を楽しませる音楽作りがなされているため、再生の際にはそれぞれの特性を鮮やかに紡ぎ出しつつ、楽曲としてのまとまりも意識したい。コリアーらしい有機的で上質なハーモニー(コード進行)が、そのまとまり一役を担っているため、ハーモニーのバランス、下支えとなるベース音をバランスよく響かせていただきたい。
解説:飯田 有抄
エキスパートクラス 課題曲1
キアン・ソルターニ
チェロはボディ感や艶やかさなどの実態感は言うまでもなく、若きキアン・ソルターニの詩を丁寧に描くことが肝要だ。ゆえに透明度の確保とコントラストが求められる。さらに楽曲を支えるオーケストレーションも細部の再現性、ホールの広さ(空間感)に留意するのは言うまでもないが、チェロとの位置関係にも気を付けなければならず、左右だけでなく前後の定位にも気を配る必要がある。1分前後から始まる爽やかなハーモニー、2分5秒あたりからのダイナミックなオーケストレーションなど音色は多彩であるため、楽器の分離感と情報量の確保と共に、全帯域での発音タイミングと音色の統一を望みたい。
エキスパートクラス 課題曲2
ジェイコブ・コリアー
冒頭から低く伸びる低域が入るため音量設定には注意が必要だ。冒頭から35秒あたりまではリズムを刻むカッティングギターと、時折顔をのぞかせるエフェクティヴなサウンドが混濁せずに綺麗に表出できるかが聴きどころ。1分8秒前後からドラムが重なり楽曲が加速するので、各音のタイミングと過渡特性、そして低域の量感と引き締めのバランスを適切にしなければ適切なビートは出てこないだろう。1分30秒あたりで楽曲にスケール感を与えるシンセストリングスが入ってくるが、その拡がり感よりも、他の楽音の邪魔にならないギリギリのバランスを意識したい。ヴォーカルはかなりオンなので、細かなニュアンス、コーラスとの描き分けはもちろんのこと、基音とリヴァーブ成分の混ざり具合と分離のバランスが求められる。
解説:栗原 祥光
エキスパートクラス 課題曲1
キアン・ソルターニ
「sehr lebhaft=極めて生き生きと」という楽章タイトル通り、闊達で流麗な演奏再現がポイントとなる。楽曲としては、行進曲風な冒頭2小節の音型(タッタッ、タッタタラララ)をモティーフに、終始、チェロとオーケストラとの掛け合いが展開される。
チェロは左右に広がるステレオ感豊かな音像で近距離から捉えられ、そのバックにオーケストラが広がる。
チェロは温かで伸びやかな音色であるため、低音過多だとチェロばかりが肥大して聴こえてしまうだろう。強拍と弱拍が交互に繰り返される4分の2拍子ならではの軽快な拍節感を大事にしつつ、チェロとオーケストラのバランスに気を配り、一体感ある協奏曲の再現を追求したい。
エキスパートクラス 課題曲2
ジェイコブ・コリアー
ポジティブなエネルギーが溢れるJacob Collierの楽曲。
厚み豊かで音像も大きめなボーカルは、密度の高さを確保しつつも、ハモリ要素も含めた多数の声の重なりが団子状にならないように気を付けたい。
低音は、16分音符で連打されるキックドラムが随所に入ったり、ピッチがベンドするエレクトリックベースとコンビネーションされるほか、1分6秒からのベースのフレーズは常に裏拍にアクセントが置かれるなど、工夫が細かい。よって、的確な低域のレスポンスが必須となる。
また、サビ部分では、常にシンセサイザーが音量変化を伴っている。低域と併せて、これらダイナミクスの表情をしっかり再現し、楽曲の持つ爽快なグルーヴを存分に引き出したい。
解説:生形 三郎
アニソンコース 課題曲1
AKIRA
おなじみ大友克洋「AKIRA」の交響組曲から1曲目「金田」を起用した。
冒頭いきなり至近距離の落雷から始まり、エスニックなパーカッションと打ち込みのパルスで音の海が形成される。
コーラスは前後左右に1群ずつ定位し、「ラッセーラ」の掛け声へ合一していく。
爛熟した文明と争いが絶えず頽廃した人間、そして訪れるカタストロフという、あらゆるものがフュージョンされたディストピア映画の強烈な匂いがあなたのシステムから立ち昇るか、音像はスピーカーを無視して3次元的に定位するか、音場は車室を飛び越えて広がるかを聴く。
とてつもなく難しい楽曲だが、できれば1曲目だけでなく、アルバム通しで聴いてほしい作品である。
アニソンコース 課題曲2
ACROSS THE WORLD
ボーカルものは「ACROSS THE WORLD」とした。
中川翔子がガンダム作品「機動戦士ガンダム:銀灰の幻影」の主題歌に挑んだ作品だ。
選択に当たっては、近年の作品の中からかなり多数の曲を聴いたが、この作品が声の質感をアキュレートに表現することにかけて、かなり頭抜けていた。
中川翔子という人気者とガンダムの金看板を得たことで、製作陣にもかなり力が入ったことと推測され、また「しょこたんの声を絶対にいいコンディションでファンに届けるぞ!」という決意のようなものが聴こえてくる、優秀録音である。
バックは打ち込みが主体だが、かなり音場は広い。それらの条件とガンダムの世界観をどこまで皆さんが表現してくるか、楽しみにしている。
解説:炭山 アキラ
評価項目(審査項目の解説)
・オーバーオール
音質の総合的な評価。トーンバランス、情報量、ダイナミックレンジ、フォーカス、サウンドステージなどのオーディオ的な指標のほか、音の立ち上がり、前方への飛び出し、透明感も考慮される。これらの項目で不足な点があると、審査時の第一印象ならびにトータルの印象に悪影響を及ぼすので、コンテストにおいて重要な項目となる。
・帯域バランス
低音、中音、高音の音量と質感のバランス。量と質感をともに均一に出すことで、制作者やアーティストが本来求めている演奏が表現できる。低域が多いと迫力は増すが意図とは外れてしまうし、反対に足りないと痩せ細ったサウンドになりやすい。高域が多いと一瞬解像感は上がるものの耳障りなサウンドになりやすい。帯域バランスは楽曲の印象やアコースティック楽器の質感、ボーカルの質感さえも大きく変えてしまうので原音に重要な項目となる。
高音
シンバル、バイオリン、ピッコロ
中音
ピアノ、声、テナーサックス、スネア、タム、バリトン、ビオラ、
チェロ、
低音
ピアノ、バスドラム、ベース、
・空間表現力
目の前に展開する空間の拡がりの項目。サウンドステージとも表記される。上下の高さ、左右の広さ、オーケストラのサウンドステージであれば立体感の表現も求めたい。理想はダッシュボードと平行に歪みなく表現することで、左右の広がりが雄大で高さも求めたい。左右片側だけが広かっていたり、奥行き表現が不足している場合は点数が低くなる。目の前に広がる雄大なサウンドステージを目指したい。
・音像の明瞭度
主にボーカル定位と明瞭さの項目。まずはボーカルの音像を明瞭に出したい。さらに高い声と低い声で音像の位置がブレないことも大切だ。またバックミュージックに対して明瞭に前に飛び出るのか?それとも奥に引っ込むのかいわゆる前後の定位も問われる。口元の大きさは原音に対しての忠実な表現を求められる。さらに歌い手の個性を損なわないように忠実な声質を表現させたい。
・定位の正確性
主にセンター定位するボーカルの音像やクラシックのオーケストラ等で中心部に定位する楽器について“位置を確認する”項目。審査用紙に記載された、センターコンソール軸上付近に定位させることが望ましい。また、特にボーカルについては、バックミュージックに対して、前に飛び出る/奥に引っ込む、いわゆる前後方向の定位も確認される。
・過渡応答性
過渡特性やトランジェントとも呼ばれ、時間的な応答特性を指す。信号の波形がなまると立ち上がりと立ち下がりが不明瞭になり、音色にも影響を及ぼす。歪みや位相の乱れが主な原因だが、アンプの信号処理だけでなくスピーカーでも発生し、広い帯域にわたって音質劣化の原因になりやすいため、オーディオシステム全体で優れた特性を確保することが求められる。音楽再生では楽器や声の発音、アタックを明瞭に再現できているかどうかで判断できるが、不要共振の発生などの要因で音の減衰が乱れると連続する音符の前後の分離が悪化し、リズムの切れが悪くなり、テンポ感も伝わりにくくなる。抜けの良さや反応の良さを引き出す上で重要な指標の一つである。
・ダイナミックレンジ
大きい音と小さい音の差の表現。一般的に音楽は静かに表現される時は音量が低くなり盛り上がる時に大きくなる。特にクラシックではピアニシモとフォルテシモの聴感上の音量差がダイナミックレンジを評価する大きな尺度となる。原音に対して忠実かつ抑揚表現豊かに表現させたいがオーバーすぎる表現にならないように注意したい。小音量時には明瞭で、大音量時に歪みなく聞こえると印象が良くなる。
・情景感(帯域バランスに代わるアニソンコース専用項目)
アニソンは元になるアニメと一体不可分だ、という考えから、その楽曲が流れたシーンの情景が浮かぶような再現性がどれくらい得られているかを評価する。キャラソンでは、そのキャラクターが活躍しているシーンや人格、表情が浮かぶように躾けられていれば、高得点を見込むことができるだろう。審査員も、エントラントの皆さんの思い入れに負けないよう、課題曲のアニメをじっくり見込んでから、審査へ望む所存である。
解説:土方久明
情景感のみ解説:炭山アキラ



審査員担当コース
・ディーラープロコース担当(2名審査)
山之内先生(トライムコース兼任)
小原先生(ユーザープロSコース兼任)
・ユーザープロコース担当
小原先生(ユーザープロSコース担当)
土方先生(ユーザープロAコース、ユーザープロBコース担当)
峯岸先生(ユーザープロCコース、ユーザープロCコース担当)
・エキスパートクラス担当
栗原先生(佐藤商事コース担当、フェリースソニードコース担当)
飯田先生(ジャンラインコース担当)
生形先生(エムズラインコース担当)
山之内先生(トライムコース担当)
・アニソンコース担当
炭山アキラ先生(アニソンA、Bコース担当)
審査時の注意事項
・審査時の車内の録画・撮影は禁止です。ドライブレコーダーやレーダー探知機等の電源は必ずOFFにしておいてください。
・審査終了後の審査員コメントの録音は可能ですが、審査員や審査用紙の録画・撮影は禁止です。
・審査員は正確な審査を行うために、一定台数おきに採点確認を行い、採点を見直しています。
・審査中(課題曲の変更時を含む)は、アナログのボリューム調整以外の目的で車内に乗り込む事はできません。
また如何なる理由があっても審査中は調整メモリー等の変更はできません。