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課題曲

■課 題 曲■
エントリーされるクラスの課題曲2曲をエントラント各自でご用意ください。(審査には2曲共に使用します)


プロクラス    
   アーティスト    Hyeyoon Park(パク・ヘユン) Gergely Madaras ケルンWDR交響楽団
       アルバム    Silenced
       トラック    ボスマンス:ヴァイオリンと管弦楽のための演奏会用小品 第3楽章
        トラック7:Concert Piece for Violin and Orchestra: III. Finale

       ハイレゾ配信    https://www.qobuz.com/jp-ja/album/silenced-hyeyoon-park-gergely-madaras-and-wdr-sinfonieorchester/vpytcknevv6hc
       
   
   アーティスト   米津玄師 宇多田ヒカル
       アルバム    JANE DOE
       トラック    トラック1:JANE DOE
       ハイレゾ配信    https://www.qobuz.com/jp-ja/album/jane-doe-kenshi-yonezu-hikaru-utada/u4wcqbh6bfvtb
       ※ディーラープロコース/ユーザープロコース共通の課題曲となります。

 

エキスパートクラス    
   アーティスト    リサ・バティアシュヴィリ シュターツカペレ・ベルリン ダニエル・バレンボイム
       アルバム    Tchaikovsky, Sibelius : Violin Concertos
       トラック    チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35 第3楽章
         トラック3:第3楽章: Finale. Allegro vivacissimo

       ハイレゾ配信    https://www.qobuz.com/jp-ja/album/tchaikovsky-sibelius-violin-concertos-lisa-batiashvili-daniel-barenboim/0002894796041
       
   
   アーティスト    マルーン5

       アルバム    Love Is Like (Deluxe)
       トラック    トラック3: オール・ナイト
       ハイレゾ配信    https://www.qobuz.com/jp-ja/album/love-is-like-maroon-5/uau5cr4uyeedb
       ※楽曲により録音レベルに差がございますので再生する際にはご注意ください。      

アニソンクラス

      アーティスト     松田彬人 北宇治高校吹奏楽部

       アルバム    TVアニメ『響け!ユーフォニアム』オリジナルサウンドトラック「おもいでミュージック」 (Incomplete Edition)

       トラック    トラックDisc2-12:プロヴァンスの風

       ハイレゾ配信    https://www.qobuz.com/jp-ja/album/tv-akito-matsuda-/g7ezv1moun7wa

       

 

      アーティスト    末廣健一郎

       アルバム    終末ツーリング Original Soundtrack

       トラック    トラック21:オフロード・コンパス

       ハイレゾ配信    https://www.qobuz.com/jp-ja/album/touring-after-the-apocalypse-original-soundtrack-kenichiro-suehiro/y78lta3ytmspc

       

課題曲についてのご注意

・ハイレゾ音源、CD音源に関わらず違法コピーは法律で固く禁じられていますので絶対におやめください。

・配信停止となる場合もございますので、お早めのご購入をお勧めします。

審査員紹介(敬称略)

山之内 正(やまのうち ただし)
大学在学時よりコントラバスの演奏を始め、今でも市民オーケストラで演奏会にも出演。年に数回はオペラ鑑賞などの為、海外を訪れる。その知識はオーディオ装置の評論などにも確実に反映されています。

小原 由夫(おばら よしお)

オーディオビジュアル専門誌の執筆活動を始め、カーオーディオコンテストでも的確な審査・アドバイスがユーザーから好評を得ています。最近では『ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事 レビュー&奏法解説でグルーヴの秘密を探る』の執筆も行っています。2025年より当コンテストの審査員長を務めて頂きます。

炭山 アキラ(すみやま あきら)

オーディオアクセサリーの執筆を始め、自らオリジナルでスピーカーボックスを自作するなど、スピーカーユニットをメーカー問わず数多く触れ、見て、聞いており、ユニットに対するノウハウも多く持っています。

森元 浩二(もりもと こうじ) エイベックエンターテイメントのゼネラルチーフエンジニア。1985年レコーディングエンジニアの職に就く。数々の海外レコーディングを経験。その経験を活かして1992年電源やケーブルにこだわった日本初のスタジオSOUND DALIを設立。2000年にさらに拘り抜いたAVEXのスタジオを開設すると共にチーフエンジニアに就任し現在に至る。

土方 久明(ひじかた ひさあき)
主に音元出版系媒体で活躍中のオーディオ評論家。ネットワークオーディオとPCオーディオに精通する新世代の評論家であり、様々なオーディオ誌にハイレゾ関連の執筆を行いながら、最近はオーディオ製品を取り扱う大手輸入商社でもハイレゾについて講義を行うなど、活発に活動中。

飯田 有抄(いいだ ありさ)
クラシック音楽ファシリテーター。音楽専門雑誌、オーディオ雑誌、書籍、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジンなどの執筆・翻訳のほか、音楽イベントでの司会、演奏、プレトーク、セミナー講師の仕事に従事。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。

​​

栗原 祥光(くりはら よしみつ)

自動車評論家/オーディオ評論家。2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。オーディオ好きが昂じステレオサウンド社に潜り込み、そのまま編集部員へ。その後、KADOKAWAで東京ウォーカー等の情報誌の編集に従事した後、独立。現在はフリーランスとして活動している。自宅ではアルテック/DIGと、マルチアンプ化したJBL/パラゴンを愛用。​

峯岸 良行(みねぎし よしゆき)
prime sound studio form所属エンジニアとして活動、ミックスエンジニアとして多くのアーティストの作品に携わる。またイマーシブサウンドテクノロジーをいち早く取り入れ、映画や舞台の 3Dサウンドを制作してきた。近年はミキシングの経験を生かし、音楽スタジオの音響や音響機器の調整も行う。名古屋芸術大学非常勤講師 。

生形 三郎(うぶかた さぶろう)

音大卒の若手オーディオ評論家。オーディオ専門誌各誌での執筆活動の他に、作曲や録音エンジニア業も営むなど、「演奏=録音=再生」の実践に基づく評論活動を展開。スピーカー設計も手掛け、自作4way マルチをリファレンスに据えるなど、システム構築にも広い見識をお持ちです。洗足学園音楽大学音楽・音響デザインコース講師。

課題曲の聴きどころ

■Hyeyoon Park(パク・ヘユン) Gergely Madaras ケルンWDR交響楽団

独奏ヴァイオリンの激しくて情熱的な旋律と、打楽器の力強さ、コントラバスとチェロの重厚さが肝心となる冒頭から1分30秒辺りまでは、めまぐるしく展開する独奏とオーケストラをダイナミックに再現したい。やがてスローなテンポに移り、ヴァイオリンは一転してふくよかで豊かな音色を奏でる。このメロディーラインが軽く流れないよう、しっかりと屹立させたい。そしてまた再び激しさを増してきて、短いパッセージでヴァイオリンとオーケストラが切り込んでくる。まるでスペクタキュラーな映画のハイライトシーンのようなパワフルな展開に再生系がしっかり追従していくことが肝心だ。音場は終始豊かなパースペクティブを提示している。

■米津玄師 宇多田ヒカル
イントロのピアノソロからの伴奏と宇多田の声の音量レベルはほとんど同一。この扱い方が面白い。エレクトロニカの要素を取り入れた頑強なリズムとビートは、フッというため息の後のサビのストリングスの優雅なメロディーとの交錯で崩れないようにしたい。一方で米津の声は、思いのほか透き通っており、宇多田よりもむしろ艶やかに感じられる。強靭なリズムに怯むことなく、しっかりとドアウーファーとサブウーファーのコンビネーションを制御したい。ともすれば低音が鈍重になる危険性を孕んだ楽曲だが、終末観漂う演奏のカオスを濃密に引き出したい。

(小原由夫)

■Hyeyoon Park(パク・ヘユン) Gergely Madaras ケルンWDR交響楽団

シンプルなリズムを刻む楽器群は、アクセントがどこにあるのか明瞭に聴き取れるように歯切れ良く再現することが重要だ。冒頭の独奏ヴァイオリンはダウンボウ(下げ弓)中心のボウイングならではの勢いと力強い音色を引き出しながら、管楽器が重なるフレーズでも旋律が埋もれないようにバランスを整えたい。ティンパニは明瞭なアタックを再現し、さらに8分音符の長さ以上に音が残りすぎないことを意識しよう。ティンパニの音色がにごると音程(レとラ)が正しく再現できず、他の楽器と共鳴しなくなるので注意が必要。約1分のところで現れるチェロとコントラバスの動きが重すぎるとテンポ感が失われるので、ここも要注意。この録音は豊かなパースペクティブに特徴があるので、自然な遠近感の再現が不可欠だ。

■米津玄師 宇多田ヒカル

二人のヴォーカルの対比を引き出すことが主要な課題だ。ピアノやパーカッションは米津と宇多田の各パートでアレンジを変えているし、3拍子の動きも微妙に変わる。にじみのないヴォーカルを再現することはいうまでもないが、それに加えて特に宇多田のエモーショナルな表現を引き出すことが肝要だ。ヴォーカルやシンセサイザーに気を取られていると気付きにくいが、ベースラインが明瞭に浮かび上がるようにバランスを整えると、重めのリズムのなかに動きが出てくるはずだ。そのさじ加減が腕の見せどころでもある。二人の声が重なるフレーズでは、意図的に作り出した距離感を正確に再現することでステージを連想させる雰囲気が生まれる。

(山之内正)

​■Hyeyoon Park(パク・ヘユン) Gergely Madaras ケルンWDR交響楽団
ボスマンス:ヴァイオリンと管弦楽のための演奏会用小品 第3楽章 Finale

オランダの女性作曲家ヘンリエッテ・ボスマンスが1934年に書いた「演奏会用小品」の終楽章である。婚約者の死とナチス政権下での作品封印という二重の喪失が、ラプソディックな構成と激しいダイナミクスに刻まれている。演奏するパク・ヘユンは「張りつめた美しい音色」と称される若手奏者で、ケルン・フィルハーモニーでの収録がその表現を精緻に記録している。

評価の軸は三点ある。第一に、独奏ヴァイオリンの倍音構造の正確な再現——弓圧の変化に伴って増減する倍音の層と弦の擦過感が色付けなく描き出されるか。第二に、コントラバスとチェロが担う低域の量感と輪郭が崩れないか。第三に、弦と管の各声部に付帯共鳴が乗らず、それぞれの音色が素直に描き分けられるか。これらの再現精度が、ケルン・フィルハーモニーの三次元的な音場の広がりと相まって、システム全体の完成度を映し出す。​​

■米津玄師 宇多田ヒカル

劇場版『チェンソーマン レゼ篇』のエンディングテーマとして2025年9月にリリースされたデュエット曲である。米津玄師が作詞・作曲し、宇多田ヒカルをゲストに迎えた。ピアノとストリングス、エレクトロニカの要素で構成された内省的な編成で、宇多田ヒカルのボーカルはロンドンでのオンライン収録との合成によって完成している。

再生での評価軸は、倍音の正確性・空間性・色付けのなさの三点に集約される。ピアノの低音域の量感と輪郭、ストリングス固有の弦鳴りの倍音が素直に描き出されるかどうかが問われる。ボーカルの再現では、低く暗い声質の米津玄師と、深みと陰影を帯びた宇多田ヒカルの声、両者の倍音特性を中域の付帯共鳴なく色付けなく描き分けられるかが焦点となる。Pad系シンセサイザーとストリングス等の空間系処理が形成する奥行きと包まれ感をシステムが正確に再現できるかとあわせて、分解能と空間表現力が総合的に問われる。

(峯岸良行)

■Hyeyoon Park(パク・ヘユン) Gergely Madaras ケルンWDR交響楽団

この楽曲最大の特徴は、演奏空間全体がスピーカーの遥か後方へ展開する点にあります。一般的なコンチェルト録音のようにソロ楽器を大きく誇張せず、ヴァイオリンをオーケストラと自然に一体化させた、リアルな方向性の録音です。よって、制約の多い車室空間でスピーカーの存在感をどこまで消し去れるかが鍵となります。
また、冒頭では低弦や打楽器がスタッカートの付いた16分音符でリズムを刻み、その上に各楽器群が同じくスタッカートやアクセントの付いた8分音符を主体に力強く主題を重ねていきます。そこへさらにフォルティッシによる鋭いアタックが加わるため、盤石な低音再現と優れたトランジェント性能が不可欠です。特にティンパニやコントラバスは低域が元々録音で強調されているため、低音過多な調整にくれぐれも注意してください。
ソロヴァイオリンは、アップボウ/ダウンボウやトリル、スラーまで自然に描き分けられると理想的で、高音域でも硬質になりすぎず、生楽器らしいしなやかさを保てるかも重要です。加えて、1分33秒以降の静寂部分で変化するバックの弦楽器の繊細な動き(同音のトレモロ奏法が、1分48秒以降は異なる音高の2音を8分音符で交互に行き来する音形へと自然に変化する)などにも着目して、楽曲の色彩感を存分に引き出してください。

※スタッカート…1音1音を切って弾く奏法
※スラー(弦楽器の場合)…2つ以上の異なる高さの音符をひと弓(同じ弓の方向)で、途切れさせず滑らかに繋げて弾く技法
※トレモロ(弦楽器の場合)…同じ音や複数の音を非常に速いスピードで連続して反復・連打する技法

■米津玄師 宇多田ヒカル

宇多田ヒカルと米津玄師、二人の歌声の描き分けが大きな注目ポイントです。まず、両者のボーカルがセンターへ明確に定位するかが重要な聴きどころとなります。同時に、キックドラムやシンセベースのレンジ感や量感、トランジェントを含めた低域の再現力も大事なチェックポイントです。
また、アレンジの要となるストリングスは音色や余韻が巧みにコントロールされており、生録音ならではのリアルな質感と、シンセサイザーのような直線的な響きが印象的です。独特な広がりのリヴァーブ感を含め、その音のキャラクターを上手く引き出したいところです。
全体としては、ボーカルをはじめ、スタジオ録音らしい積極的な音作りが施されているため、再生システム固有のクセや違和感は比較的出にくく、どのようなシステムでもそれなりの音質で再生し易いでしょう。だからこそ、もう1曲のクラシックの課題曲でも違和感が出ないか、併せて慎重に確認してください。
(生形三郎)

■リサ・バティアシュヴィリ シュターツカペレ・ベルリン ダニエル・バレンボイム
 第三楽章序奏は、打楽器も交えたオーケストラの力強いリズムで始まるが、すぐにヴァイオリン独奏となる。この第一主題と第二主題の音の芯の強さ、そして迸る情念を上手に引き出したい。オーケストラを先導していくような急速調にテンポが変化するヴァイオリンの旋律を精密に描写したいところだ。音場再現としては、ヴァイオリンは前に出過ぎず、左右のスピーカーを結んだ横軸の後ろに定位する。立体的な響きのオーケストラはさらにその後ろで、フワッとした余韻を感じさせるホールの残響感も意識してほしい。ちなみに、この録音時期にリサ・ヴァティアシュヴィリが愛用していたヴァイオリンは、日本音楽財団から貸与された1709年製ストラディヴァリウス「Engleman」。温かみと輝かしさ、艶のバランスに優れた名器である。

■マルーン5
 比較的穏やかな出だしの曲だが、サビの部分からの強烈なベースラインに度胆を抜かされる。このビートを鋭く歯切れよく再現しなければNG。鈍さが感じられたり、尾を引くようなことがあってはならない。とにかくタイトに、スパッスパッと立ち上がり・立ち下がりを反応よく再現したい。コーラスは左右のスピーカー間にワイドに広がるが、ソロ歌唱は決してピンポイントの音像定位ではないことも肝心。途中のサックス・ソロも同様で、定位がシャープ過ぎてはいけない。​
(小原由夫)

■リサ・バティアシュヴィリ シュターツカペレ・ベルリン ダニエル・バレンボイム

録音した場所は、音楽に適したよいアコースティックを得るためには、天井の高さは横幅の倍以上必要であるという思想のもとにデザインされた東ベルリンのホールで、中低域の残響時間が減少する独特の残響時間の周波数特性により、楽器の音の明瞭さに影響する中低域の音域がマスキングされにくく、この作品も明瞭な音像感が特徴で、低域を誇張することなく、残響も短めです。ソロバイオリンとオケの距離感は実際の関係よりも離した表現で、バイオリンの主役感が強い録音です。

■マルーン5

正確無比なビート感が特色のマルーン5は、音の余韻を付加することなく正確に音の長さを表現できているか、が一番重要になります。またアタック感が足りないと曲の軽快感が失われます。この曲の低域パワーが集中するのは想像するより少し上の帯域で、ベースの存在感はキックより控えめです。イントロの特徴的なサックスは逆位相成分の多いエコーが重要で、左右の相関性が足りないとエコーが聞こずにモノラルっぽくなってタイトになってしまいます。Vocalも中域にパワーが集中しています。30秒までのAメロ(verse)歌はセンター定位で、サビ(Chorus)は左右に広がり、センターに定位させていません。

(森元浩二)

 

■リサ・バティアシュヴィリ シュターツカペレ・ベルリン ダニエル・バレンボイム

クラシックの聴きどころを、改めて基本から確認しておきましょう。まず重要になるのが、帯域バランス、いわゆるトーンバランスです。高音域、中音域、低音域の量感が適切であることはもちろんですが、クラシックでは特に、特定の帯域だけを強調するのではなく、音源に忠実なバランスが求められます。その最大の理由は、オーケストラが数多くの楽器によって構成されているためです。あるパートで本来意図されていない楽器が不自然に前へ出たり、逆に埋もれてしまう状態は避けなければなりません。また、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、木管、金管、打楽器といった各楽器の自然な質感を再現するためにも、ソースに忠実なバランスが求められます。加えて、高音域および低音域のレンジ、いわゆる周波数レンジの再現性にも注意を払いたいところです。高域の伸びが不足するとホールの空気感や弦楽器の倍音表現が失われ、逆に低域のレンジが不足するとコントラバスやティンパニ、大太鼓などが持つスケールや暗騒音による音場感が損なわれてしまいます。サウンドステージについては、左右均等で平行に広がる音場が基本となり、音場の片寄りや不自然な広がりはマイナス要素になります。

そのうえで、本楽曲固有の聴きどころに目を向けると、イントロからオーケストラ各セクションが激しく呼応しながら展開していきます。そのため、大きなダイナミックレンジの変化や急激な抑揚表現に対して、システムがどれだけ正確に追従できるかが重要になります。単に音が大きくなるだけではなく、弱音から強音への変化、そのエネルギー感や緊張感まで描き切りたいところです。また、センター付近に定位するソリストのヴァイオリンも重要なチェックポイントです。オーケストラ全体の音場の中から自然に浮かび上がりつつ、必要な場面では一歩前へ飛び出してくる表現力が求められます。音量だけで前に出るのではなく、音色や定位のフォーカスによって存在感を示してほしいところです。さらに上位入賞を狙うのであれば、ヴァイオリンの余韻表現にも注目してください。弓が弦を離れた後に残る微細な響きやホールに溶け込む残響成分まで描き出せるかどうかは、システムのローレベル・リニアリティを測る重要な指標となります。小さな信号が埋もれず、滑らかに再現されることで、音楽の情感やホールの空気感が一段と豊かに感じられるはずです。
■マルーン5
本楽曲は、現代的なポップスらしく、重量感のあるキックドラムとエレクトリックベースが楽曲の土台を形成しています。そのため、低音域の再現能力が重要になりますが、単純に量感を増やせば良いというものではありません。求められるのは、低音域の沈み込みと過渡応答の両立です。低音が膨らみ過ぎると楽曲本来のリズム感が鈍くなり、逆に量感が不足するとポップスとしての高揚感やグルーヴが損なわれてしまいます。また、左右のドア付近へ張り付くような再生は避けたいところです。適度なサイズ感を保ちながら、センター付近を基軸として安定した定位を形成することが望まれます。フロントマンである Adam Levine のボーカルは、本楽曲において最も重要なチェックポイントのひとつです。理想はセンターコンソール、すなわちバックミラーの軸上付近に自然に定位すること。そして口元のサイズ感が適切であることです。課題曲で使われることの多い、ジャズボーカルのような、極端なオンマイク録音ではありませんが、それでも主役として十分な存在感を持っています。必要以上に音像を膨らませるのではなく、フォーカスの合った輪郭の明確な音像を目指してください。さらに、この曲ではボーカルと呼応するバックコーラスにも注目したいところです。左右方向へ広がるコーラスの配置によって、システムの左右対称性や音場の整合性がある程度把握できます。音場が片側へ引っ張られていたり、位相の乱れによる空間の歪みがある場合は、コーラスの広がり方に違和感として現れるはずです。
(土方久明)

■リサ・バティアシュヴィリ シュターツカペレ・ベルリン ダニエル・バレンボイム

冒頭からオーケストラの全奏で、フィナーレ楽章の幕開けを告げる華やかな和音が鳴らされる。ただちに弦楽器群の俊敏なモチーフが続き、金管楽器(ホルンとトロンボーン)の響きが目立つ。フルートが高音域でモチーフを繰り返し、ものの10数秒で、広い音域と多様な音色が提示される。ヴァイオリン独奏が俊敏なモチーフをなぞり、ピッツィカート(指で弦を弾く奏法)による音色も交えながら登場。オーケストラが合流すると、より広い音域を駆け回って音楽をリードする。1分53秒からは民族舞曲風となる。チェロの空虚な5度の重音の上に、ヴァイオリン独奏が奏でる節回しの面白さや、2:45からの哀愁あるオーボエの音色の魅力も引き出したい。闊達な独奏とオーケストラとのやり取りが、立体的に生き生きと再生されることが望ましい。

■マルーン5

決して音数は多くなく、テンポも速くはないポップスだけに、余裕あるグルーヴ感を楽しめる音作りに期待したい。クラシックとは異なり、時間経過とともにダイナミクスや音の重なりに大きな変化が起こるわけではないため、全体がフラットな印象にならないよう、個々の音の空間的配置を鮮やかに伝えてほしい。冒頭から、加工されたような音質のピアノやコーラスの響きが明確な定位で提示され、引き締まった音質のアタックでベースやドラム、そしてヴォーカルが輪郭のはっきりとした声質で加わる。情報量を整理し、楽器や声それぞれの特性と位置関係をいかに際立たせるかがポイントとなるだろう。
(飯田有抄)

■リサ・バティアシュヴィリ シュターツカペレ・ベルリン ダニエル・バレンボイム
冒頭からの約1分間は、シュターツカペレ・ベルリンのスケール感と一体感が聴きどころ。その後は、リサ・バティアシュヴィリの香り立つヴァイオリンの細やかなニュアンス、多彩な音色の再現性が鍵となる。リズミカルでコントラストを付けた表現を期待したい。

■マルーン5
単調なリズムが支配的の楽曲ゆえ、飽きさせないサウンドメイクが重要だ。冒頭10秒のパ=カッション、その後に始まるリズミカルで切れ味の良さと、ヘビィなベースの再現性を重要視したい。オンマイクに録られたヴォーカルが、オンになりすぎないことも重要だ。
(栗原祥光)

■プロヴァンスの風

「響け!ユーフォニアム」といったら「三日月の舞」だろうとツッコミが入るかもしれないが、あれはTV用に作り込まれた音源で、オーディオ的には好ましくない。一方、第1シーズンの課題曲「プロヴァンスの風」は、断片的にしか使われなかったこともあり、ごく普通の吹奏楽録音、即ちかなり力強くハイスピードで広大な音場が収められた楽曲だ。編成の大きな吹奏楽の分離と楽器の音色、音場の広さと定位の遠近感がしっかり出ているかを聴く。

■オフロード・コンパス

「終末ツーリング」は、人類がほとんど滅び去った日本を、シェルターから出てきた女の子ヨーコと相棒のアンドロイド・アイリが、電動に改造されたオフロード・バイクに乗って旅をする。「オフロード・コンパス」は第5話と8話で流された挿入歌で、ややオフビートな感じのギターロックに女性ボーカルが入る。多重録音のギターがしっかり分離するかと、時にハッとする生々しさを聴かせるボーカルを聴く。

​(炭山アキラ)

評価項目(審査項目の解説)

・オーバーオール
音質の総合的な評価。トーンバランス、情報量、ダイナミックレンジ、フォーカス、サウンドステージなどのオーディオ的な指標のほか、音の立ち上がり、前方への飛び出し、透明感も考慮される。これらの項目で不足な点があると、審査時の第一印象ならびにトータルの印象に悪影響を及ぼすので、コンテストにおいて重要な項目となる。


・帯域バランス
低音、中音、高音の音量と質感のバランス。量と質感をともに均一に出すことで、制作者やアーティストが本来求めている演奏が表現できる。低域が多いと迫力は増すが意図とは外れてしまうし、反対に足りないと痩せ細ったサウンドになりやすい。高域が多いと一瞬解像感は上がるものの耳障りなサウンドになりやすい。帯域バランスは楽曲の印象やアコースティック楽器の質感、ボーカルの質感さえも大きく変えてしまうので原音に重要な項目となる。

 

高音
シンバル、バイオリン、ピッコロ

 

中音
ピアノ、声、テナーサックス、スネア、タム、バリトン、ビオラ、
チェロ、

 

低音
ピアノ、バスドラム、ベース、

 

・空間表現力

目の前に展開する空間の拡がりの項目。サウンドステージとも表記される。上下の高さ、左右の広さ、オーケストラのサウンドステージであれば立体感の表現も求めたい。理想はダッシュボードと平行に歪みなく表現することで、左右の広がりが雄大で高さも求めたい。左右片側だけが広かっていたり、奥行き表現が不足している場合は点数が低くなる。目の前に広がる雄大なサウンドステージを目指したい。

 

・音像の明瞭度
主にボーカル定位と明瞭さの項目。まずはボーカルの音像を明瞭に出したい。さらに高い声と低い声で音像の位置がブレないことも大切だ。またバックミュージックに対して明瞭に前に飛び出るのか?それとも奥に引っ込むのかいわゆる前後の定位も問われる。口元の大きさは原音に対しての忠実な表現を求められる。さらに歌い手の個性を損なわないように忠実な声質を表現させたい。

・定位の正確性

主にセンター定位するボーカルの音像やクラシックのオーケストラ等で中心部に定位する楽器について“位置を確認する”項目。審査用紙に記載された、センターコンソール軸上付近に定位させることが望ましい。また、特にボーカルについては、バックミュージックに対して、前に飛び出る/奥に引っ込む、いわゆる前後方向の定位も確認される。


・過渡応答性
過渡特性やトランジェントとも呼ばれ、時間的な応答特性を指す。信号の波形がなまると立ち上がりと立ち下がりが不明瞭になり、音色にも影響を及ぼす。歪みや位相の乱れが主な原因だが、アンプの信号処理だけでなくスピーカーでも発生し、広い帯域にわたって音質劣化の原因になりやすいため、オーディオシステム全体で優れた特性を確保することが求められる。音楽再生では楽器や声の発音、アタックを明瞭に再現できているかどうかで判断できるが、不要共振の発生などの要因で音の減衰が乱れると連続する音符の前後の分離が悪化し、リズムの切れが悪くなり、テンポ感も伝わりにくくなる。抜けの良さや反応の良さを引き出す上で重要な指標の一つである。

・ダイナミックレンジ

大きい音と小さい音の差の表現。一般的に音楽は静かに表現される時は音量が低くなり盛り上がる時に大きくなる。特にクラシックではピアニシモとフォルテシモの聴感上の音量差がダイナミックレンジを評価する大きな尺度となる。原音に対して忠実かつ抑揚表現豊かに表現させたいがオーバーすぎる表現にならないように注意したい。小音量時には明瞭で、大音量時に歪みなく聞こえると印象が良くなる。

・情景感(帯域バランスに代わるアニソンコース専用項目)

アニソンは元になるアニメと一体不可分だ、という考えから、その楽曲が流れたシーンの情景が浮かぶような再現性がどれくらい得られているかを評価する。キャラソンでは、そのキャラクターが活躍しているシーンや人格、表情が浮かぶように躾けられていれば、高得点を見込むことができるだろう。審査員も、エントラントの皆さんの思い入れに負けないよう、課題曲のアニメをじっくり見込んでから、審査へ望む所存である。

解説:土方久明

情景感のみ解説:炭山アキラ

審査員担当コース

・ディーラープロコース担当(2名審査)

小原先生(ユーザープロSコース兼任)

山之内先生(ユーザープロAコース兼任)

・ユーザープロコース担当
小原先生(ユーザープロSコース担当、ディーラープロコース兼任)

山之内先生(ユーザープロAコース担当、ディーラープロコース兼任)

峯岸先生(ユーザープロBコース、ユーザープロCコース担当)

生形先生(ユーザープロDコース、ユーザープロEコース担当)


・エキスパートクラス担当

森元先生(佐藤商事コース担当、フェリースソニードコース担当)

土方先生(ジャンラインコース担当)

飯田先生(エムズラインコース担当)

栗原先生(トライムコース担当)


・アニソンコース担当
炭山アキラ先生(アニソンA、Bコース担当)

審査時の注意事項

・審査時の車内の録画・撮影は禁止です。ドライブレコーダーやレーダー探知機等の電源は必ずOFFにしておいてください。

・審査終了後の審査員コメントの録音は可能ですが、審査員や審査用紙の録画・撮影は禁止です。

・審査員は正確な審査を行うために、一定台数おきに採点確認を行い、採点を見直しています。

・審査中(課題曲の変更時を含む)は、アナログのボリューム調整以外の目的で車内に乗り込む事はできません。


また如何なる理由があっても審査中は調整メモリー等の変更はできません。

© 2013-2026  ヨーロピアンサウンドカーオーディオコンテスト実行委員会

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