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課題曲

■課 題 曲■
エントリーされるクラスの課題曲2曲をエントラント各自でご用意ください。(審査には2曲共に使用します)


プロクラス    
   アーティスト    Gerard Salonga, Hong Kong Philharmonic Orchestra
       アルバム    The Metaverse Symphony
       トラック    トラック1:Symphony No. 1 "The Metaverse": I. The Digital Age
       ハイレゾ配信    https://www.e-onkyo.com/music/album/sme196871504256/
       
   
   アーティスト   Dolly Parton
       アルバム    Rockstar
       トラック    トラック3:Every Breath You Take(feat. Sting)
       ハイレゾ配信    https://www.e-onkyo.com/music/album/uml00843930095186/
       
※ディーラープロコース/ユーザープロコース共通の課題曲となります。

 

エキスパートクラス    
   アーティスト    久石 譲, ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
       アルバム    A Symphonic Celebration Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki
       トラック    トラック8:A Town with an Ocean View[from 'Kiki's Delivery Service']
       ハイレゾ配信    https://www.e-onkyo.com/music/album/uml00602448421685/
       
   
   アーティスト    JUJU

       アルバム    スナックJUJU ~夜のRequestRequest~ 『帰ってきたママ』
       トラック    トラック5:ダンシング・オールナイト
       ハイレゾ配信    https://www.e-onkyo.com/music/album/sme4547366650921/
       

アニソンクラス

      アーティスト     東 日万凛(CV:宮本侑芽)

       アルバム    強くて弱くて愛しくて

       トラック    トラック1:強くて弱くて愛しくて

       ハイレゾ配信    https://www.e-onkyo.com/music/album/pcsp05520/

       

 

      アーティスト    川井 憲次

       アルバム    イノセンス O.S.T. 【K2HD 】

       トラック    トラック10:傀儡謡 陽炎は黄泉に待たむと

       ハイレゾ配信    https://www.e-onkyo.com/music/album/veahd10330/

       

課題曲についてのご注意

・ハイレゾ音源、CD音源に関わらず違法コピーは法律で固く禁じられていますので絶対におやめください。

・配信停止となる場合もございますので、お早めのご購入をお勧めします。

審査員紹介(敬称略)

山之内 正(やまのうち ただし)

大学在学時よりコントラバスの演奏を始め、今でも市民オーケストラで演奏会にも出演。年に数回はオペラ鑑賞などの為、海外を訪れる。その知識はオーディオ装置の評論などにも確実に反映されています。2018年より当コンテスト審査員長を務めて頂いております。

小原 由夫(おばら よしお)

オーディオビジュアル専門誌の執筆活動を始め、カーオーディオコンテストでも的確な審査・アドバイスがユーザーから好評を得ています。最近では『ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事 レビュー&奏法解説でグルーヴの秘密を探る』の執筆も行っています。​

炭山 アキラ(すみやま あきら)

オーディオアクセサリーの執筆を始め、自らオリジナルでスピーカーボックスを自作するなど、スピーカーユニットをメーカー問わず数多く触れ、見て、聞いており、ユニットに対するノウハウも多く持っています。

土方 久明(ひじかた ひさあき)
主に音元出版系媒体で活躍中のオーディオ評論家。ネットワークオーディオとPCオーディオに精通する新世代の評論家であり、様々なオーディオ誌にハイレゾ関連の執筆を行いながら、最近はオーディオ製品を取り扱う大手輸入商社でもハイレゾについて講義を行うなど、活発に活動中。

飯田 有抄(いいだ ありさ)
クラシック音楽ファシリテーター。音楽専門雑誌、オーディオ雑誌、書籍、CD、コンサートプログラム、ウェブマガジンなどの執筆・翻訳のほか、音楽イベントでの司会、演奏、プレトーク、セミナー講師の仕事に従事。公益財団法人福田靖子賞基金理事。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Macquarie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。

峯岸 良行(みねぎし よしゆき)
prime sound studio form所属エンジニアとして活動、ミックスエンジニアとして多くのアーティストの作品に携わる。またイマーシブサウンドテクノロジーをいち早く取り入れ、映画や舞台の 3Dサウンドを制作してきた。近年はミキシングの経験を生かし、音楽スタジオの音響や音響機器の調整も行う。名古屋芸術大学非常勤講師 。

生形 三郎(うぶかた さぶろう)

音大卒の若手オーディオ評論家。オーディオ専門誌各誌での執筆活動の他に、作曲や録音エンジニア業も営むなど、「演奏=録音=再生」の実践に基づく評論活動を展開。スピーカー設計も手掛け、自作4way マルチをリファレンスに据えるなど、システム構築にも広い見識をお持ちです。洗足学園音楽大学音楽・音響デザインコース講師。

課題曲の聴きどころ

プロクラス課題曲1:Symphony No. 1 "The Metaverse": I. The Digital Age

冒頭の弦楽器をはじめとして各楽器の音形の特徴を鮮明に聴き取れるように細部の再現性を確保することが求められる。打楽器と低弦に金管楽器や弦楽器が加わり、一貫したリズムを刻みながら音量が拡大していく。断片的で直線的なフレーズで緊張感を高める楽器群も含めて、各楽器がどんな役割を担っているのか、聴き手が明瞭に把握できるような混濁のないサウンドを目指すことが大切だ。ステージ上での位置関係、各セクションの音量バランスがくずれてしまうと、音数が多いだけの混濁した音の塊になってしまう。それを避けるためのヒントの一つは、ティンパニやコントラバスなど低音楽器のリズムをクリアに再現することで、一音一音の分離を確保することが求められる。

(山之内 正)

香港フィルハーモニーによる初演ライヴの第1楽章。「デジタル時代」と副題が付けられており、精巧で緻密なアンサンブルがダイナミックなスケールで繰り広げられるが、どこか不気味なメロディーで、リスナーに緊張感を強いるような旋律だ。クレッシェンドしていく中で打楽器の逞しい響きを崩すことなく再現しつつ、テナートロンボーンやバストロンボーン、チューバといった低音部を担う管楽器のヘヴィな実体感も再生時の肝となろう。畳み掛けるようなエネルギーに怯むことのないようシステム調整を心掛けたい。前衛または現代音楽にカテゴライズされると思われ、ショスタコーヴィチの交響曲との共通点を私は感じた。

(小原 由夫)

斬新な音楽性が魅力の楽曲だ。楽曲冒頭の暗騒音は、SNが高く、良質にセッティングされた車両では小レベルの音の表現力が高くなることから、演奏者(観客の)の出すわずかな気配が聞こえてくるはず。冒頭の弦楽器でセンター付近の定位がある程度だが判断されるだろう。コントラバスなどお低音楽器は広く左右に展開しており、サウンドステージを表現する1つの要素となっている。その後、壮大かつ激しい抑揚が始まるが、ここでは弦楽器、吹奏楽器、打楽器が相乗効果を聞かせ複雑かつ迫力あるリズムを作り出している。高音域から低音域にかけてのスピード感を揃えると、音楽性が上がり、よりメロディアスに聞こえてくるはずだ。

(土方 久明)

「Symphony No. 1 "The Metaverse": I. The Digital Age」は、ホンコン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によってデジタル化の進展と現代社会の複雑さを表現しています。再生時には、各楽器のディテールはもちろん、ホールの反射音やリバーブなどに注意し、音場が感じられることが重要です。また、低域の量感には特に注意が必要であり、コントラバスの最低音である50Hz付近まで音程の聞き取れ、他の楽器をマスキングや変調したり、混濁なく再生できることが望ましいです。40inchグランカッサ(大太鼓)の基本周波数の再生には最低でも40Hzまで十分な振幅で再生することが必要です。音場の再現という意味でも再生下限が低ければ低いほど、楽曲全体の印象がより良くなります。

(峯岸 良行)

プロクラス課題曲2:Every Breath You Take (feat. Sting)

ヴォーカルは声のイメージが広がりすぎないようにすることも重要だが、それ以上に息の勢いやコーラスとのハーモニーの透明感を確保することが大切で、すべての単語の歌詞が聴き取れるように明瞭な発音を引き出すことも不可欠だ。ドラム、ギター、ベースが刻むシンプルなリズムは各音域のアタックが完全に揃うことが第一歩。ヴォーカルよりも音量が大きくならないように留意しつつ、クリアな音色を確保してリズムの楽器群が後方に下がりすぎることがないように注意したい。一音一音の切れの良さを意識しながら、曲の後半で音数が増えてもリズムの音形と動きがクリアに浮かび上がることが重要。スネアの音色が薄くならないことも大切だ。

(山之内 正)

御歳78歳、キャリア60年以上に渡るカントリー音楽の第一人者が発表した初の全編ロックアルバムから、POLICEのカバー「見つめていたい」。オリジナルメンバーのスティングがコーラスで参加。中央付近に定位する克明な音程のベースラインと乾いた響きのスネアドラムに先導され、年齢を感じさせないチャーミングな歌声が音場のセンターにくっきりピンポイントに浮かび上がる。サビでのスティングとのハモリとその分離にも留意したい。伴奏は比較的シンプルで、前述のリズム隊の他には左右チャンネルに周期的にパンニングされるギターとキーボードぐらい。中域から低域にかけてのビートの骨格を曖昧にしないように。間奏部までの2分20秒弱を聴きたい。

(小原 由夫)

冒頭のドラムのアタック音は、立ち上がり良く、質感もある程度は鋭く表現してもいい。バックミージックの楽器が広く左右に展開しており、サウンドステージを表現する。ギターの質感がブライトになりすぎないように注意しつつ、ドリー・パートンのボーカルは適度に柔らかく、アンビエントが入っているので、質感の描き分けが肝になる。スティングが加わった時、2人の声の分解能と左右の位置関係のズレには注意したい。本楽曲はベースの音量を決めるのが難しいかも知れないが、あくまでもアーティストが主役だということがヒントになりそうだ。1:25前後から音楽的に盛り上がってくるので、ダイナミックレンジの表現を意識していただきたい。

(土方 久明)

Stingのインタビューによると、「Every Breath You Take」は、歌詞の内容が最も誤解されている楽曲の一つだと語られています。この楽曲の再生時には、低域に特に注意し、キックドラムや時々出てくるTomの存在感を適切に感じることが重要です。Dolly Partonのヴォーカルはセンターに定位しますが、Stingの包み込むようなコーラスや、付点八分音符のディレイなど、それぞれの空間の演出の存在も重要で、そのためには、色つけ感のない透明な再生装置であることが望ましいです。一方で、Dolly PartonとStingの素晴らしい共演を楽しむためのプラスの要素があるとしたら、それを積極的に付加することのできる再生装置も面白いと思います。

(峯岸 良行)

エキスパートクラス課題曲1:A Town with an Ocean View[from 'Kiki's Delivery Service']

宮崎駿監督作品ならではのファンタジックな世界観が巧みに描かれたオーケストレーションだ。テーマ部の弦楽隊のピチッカートは左右チャンネルで掛け合い、歯切れよく跳ねるようなスタッカートのリズムは柔らかで優しい旋律、続いて木管楽器を軸としたウォームな雰囲気のメロディーに移行し、やがて金管楽器が活躍したサビへとつながる。2回目のテーマでは、ややバロック調の雰囲気で管と弦との掛け合いが滑らかに展開。まさしくホウキに跨がって滑空する主人公の姿を想起させる、自由で広がり豊かな空間感である。
(小原 由夫)
 

ジブリ映画ファンを始めとして多くの方に知られた耳馴染みの良い楽曲。比較的静かに始まる冒頭では、左右に広がる楽器でサウンドステージの広さと、幾つかの楽器の横方向の位置が提示される。その後、トランペットを中心とした吹奏楽器が幅広い空間で聞こえるが、ステージ中央から左右へかけても、幾つかの楽器が定位している。つまり楽曲冒頭は比較的楽器の数が少ないので、質感と横方向の位置関係の表現を確認したい。楽曲途中のピッコロの空間への浮かび上がり方や、その質感も聞きどころ。2:05からテンポが上がり抑揚してくるので、冒頭の静かな部分との音楽的なコントラストの描き分けを表現できたらベストだ。

(土方 久明)

可愛らしい原曲が、作曲者である久石自身の手によってシンフォニック(交響的)な広がりのあるオーケストラ作品へとリワークされている。となれば、注目すべきはオーケストレーションの妙であり、各楽器の発音の特性や音色のキャラクター、それらの重なり合いやブレンド、広がりや奥行きのバランスだ。冒頭はものの10秒ほどで世界観を提示する巧みな序奏。流麗にメロディーを奏でた弦楽器は、その後すぐにピッツィカート(弦を指で弾いて音を出す奏法)で主要テーマを提示する。ピッツィカートらしい音の立ち上がり時のノイズをいかに音楽的に聴かせられるかは、この曲のチャレンジングなポイントの一つである。テーマはやがて木管のフルート、ピアノ伴奏、打楽器の新たな音色の要素が加わて繰り返され、次第に金管や打楽器がサウンドステージを広げていく。そうしたカラフルなオーケストレーションを、ぜひとも楽しく聴かせていただきたい。

(飯田 有抄)

音色に関しては、弦楽器の比重が大きいですが、すべての楽器の質感をしっかりと再現して下さい。序盤は、10秒ほどからピチカート奏法になりますが、左右それぞれに分かれた音像で掛け合いとなります。29秒からセンター付近奥の木管楽器に旋律が受け継がれ、その後ホルンへ、そして、弦楽器へと戻り、その後も、旋律が異なる楽器間で掛け合うなど、楽曲の細やかな展開に着目してください。
1:30からは8分音符の刻みによるリズムとなり、2:05からはテンポアップした展開となります。楽器や音域を問わず、しっかりとリズムが明瞭に再現されているかを確認します。特にコントラバスのアタックや余韻が正確でないと、全体のリズムが茫洋としてまとまり無いものになってしまうでしょう。
定位に関しては、弦楽器に関しては比較的オンマイクの音像が左右に張り付いており、対して木管や金管、パーカッションと、奥に行くにつれ遠景の音になるといった、遠近感あるものになっています。その辺りの対比や奥行きの再現に留意し、広がりと奥行きある描写を是非とも実現してください。
(生形 三郎)
 

エキスパートクラス課題曲2:ダンシング・オールナイト

原曲は先年逝去されたもんたよしのり作の大ヒット曲。もんた版はかなり擦れた声に個性があったが、JUJUはそれとは真逆の色艶で迫る。少し気怠い雰囲気は原曲通りだが、サビでの豊かな声量に伸びやかさと潤いを感じさせる。伴奏は左右チャンネルに別々のリズムギターが配され、ホーンセクションがサビで彩りを沿える。ベースは音場の中央にどっかり座って野太いビートを繰り出し、その様子はレゲエ~スカの楽曲によく見られる存在感で、時折挟み込まれるシンドラムのリフも同様の印象を植え付けている。

(小原 由夫)

まずは、あえて昭和歌謡のような懐かしさを感じる音色を表現したい。本楽曲が懐かしさを感じる理由としては、あえて派手でブライトにマスタリングされた高音域やエレクトリックシンセサイザーを使わないドラムスなどの楽器の質感にある。歌唱力が高いアーティストなのでボーカルには過度なアンビエントはかけられておらず、口元は大きすぎず小さすぎず、センターに存在感を持って定位する。楽曲の中で所々に聞こえるコーラスは左右に広がっているので、左右バランスもチェックされるはず。メロディアスな音楽性を上手に表現して、オリジナルの発売された1980年当時らしい雰囲気と、オリジナルより少しボリュームが増した低音域も表現したい。

(土方 久明)

昭和テイストの曲想とアコースティックな雰囲気を生かしながら、現代的で洗練されたアレンジが持ち味のトラック。各楽器のサウンドの位置関係とバランスの表現が秀逸な録音である。左右に分かれた2本のギターのクリアな定位と音色の違い、テクニカルでありながらも堅実な仕事をしているベースとドラムスの包容力、輝かしいブラスサウンドの程よい音圧や、特徴あるオルガンの響きをしっかりと感じ取り、鮮やかに再現できるとよい。やはり注力したいのはJUJUのヴォーカルで、スモーキーでやや奥まった声音から、サビにかけての張りのある艶やかな響きへの変化、量感の違いまで細やかに聴き取れる再生を目指したい。

(飯田 有抄)

音色に関しては、例年に違わず、低音が十分に含まれていますので、量感の出過ぎや余韻の締りには十分に注意します。エレクトリックベースは、フレーズの中に配置された沢山の短いミュートがグルーブを作っていることに着目して下さい。キックドラムのタイトな余韻もポイントです。中・高域は、ギターやボーカル、ブラスやオルガン本来の艶感を適切に再現することが、この楽曲再現の肝となるでしょう。
ボーカルの定位は、ゴーストが出ないよう、センターの一点から聴こえるよう注意します。センターのボーカルと、両脇からのコーラスは明確に描き分けられる必要があります。この時、コーラスの左と右の音量バランスや定位にも注意します。要所に挟まれる、定位が大きく動くエレクトリックドラムのタムタムによるフィルインも、定位再現調整の目印の一つとなるでしょう。
(生形 三郎)

アニソンクラス課題曲1:強くて弱くて愛しくて

本稿締め切り時点で未だ放送中のアニメ「魔都精兵のスレイブ」に登場する東日万凛のキャラソンである。日万凛は平穏な日常にぽっかりと口を開ける「魔都」へ棲み着く醜鬼と戦う戦士の集まり「七番組」の副組長で、口数は少なく、華があるタイプではないが、名家に生まれながらここ一番で栄光を掴めなかった、という劣等感を抱きつつ、組長・羽前京香のように強くなりたい、と自らの技を鍛え続ける、ひたむきでストイックなキャラクターである。曲はそんな日万凛の強さと、主人公の和倉優希へ時に見せる自らの弱み、そして人間的な優しさを描いている。全体にアップテンポで、勢いを失わないように。低域はやや軽めで、あまり深追いする必要はない。その代わりといっては何だが、全域のスピード感は徹底追及したい。時折スピーカーを無視して音が広がるところがあるから、その音場もしっかり出しておきたいものだ。

(炭山 アキラ)

アニソンクラス課題曲2:傀儡謡 陽炎は黄泉に待たむと

攻殻機動隊の映画版2作目「イノセンス」のサントラより、クライマックスのバトルシーンで流れる曲を選んだ。押井監督が偏愛する生物と非生物、人間と傀儡(くぐつ)、いにしえの箴言、そしてバトルという要素がすべて詰まった、印象的なシーンである。映画ではどんどん狭まっていく空間の中で用いられたが、この曲自体は大変な広がりを持たせているから、遠慮なく音場を広げてほしい。ブルガリアン・ポリフォニーとも相通ずる日本の民謡発声で歌う西田和枝社中のコーラスは中高域が張って聴こえるが、その特徴を存分に生かしつつ、耳障りにならないようまとめたい。パーカッションはアタックのスピード感とパワーを重視し、抜けの良い音に躾けたい。上手くチューニングが決まると、2chのスピーカーでもサラウンドさながらに音場が広がる楽曲だから、無理は禁物だができるだけ音場の広がりも欲張ってほしい。

(炭山 アキラ)

評価項目(審査項目の解説)

・オーバーオール
音質の総合的な評価。トーンバランス、情報量、ダイナミックレンジ、フォーカス、サウンドステージなどのオーディオ的な指標のほか、音の立ち上がり、前方への飛び出し、透明感も考慮される。これらの項目で不足な点があると、審査時の第一印象ならびにトータルの印象に悪影響を及ぼすので、コンテストにおいて重要な項目となる。


・帯域バランス
低音、中音、高音の音量と質感のバランス。量と質感をともに均一に出すことで、制作者やアーティストが本来求めている演奏が表現できる。低域が多いと迫力は増すが意図とは外れてしまうし、反対に足りないと痩せ細ったサウンドになりやすい。高域が多いと一瞬解像感は上がるものの耳障りなサウンドになりやすい。帯域バランスは楽曲の印象やアコースティック楽器の質感、ボーカルの質感さえも大きく変えてしまうので原音に重要な項目となる。

 

高音
シンバル、バイオリン、ピッコロ

 

中音
ピアノ、声、テナーサックス、スネア、タム、バリトン、ビオラ、
チェロ、

 

低音
ピアノ、バスドラム、ベース、

 

・空間表現力

目の前に展開する空間の拡がりの項目。サウンドステージとも表記される。上下の高さ、左右の広さ、オーケストラのサウンドステージであれば立体感の表現も求めたい。理想はダッシュボードと平行に歪みなく表現することで、左右の広がりが雄大で高さも求めたい。左右片側だけが広かっていたり、奥行き表現が不足している場合は点数が低くなる。目の前に広がる雄大なサウンドステージを目指したい。

 

・音像の明瞭度
主にボーカル定位と明瞭さの項目。まずはボーカルの音像を明瞭に出したい。さらに高い声と低い声で音像の位置がブレないことも大切だ。またバックミュージックに対して明瞭に前に飛び出るのか?それとも奥に引っ込むのかいわゆる前後の定位も問われる。口元の大きさは原音に対しての忠実な表現を求められる。さらに歌い手の個性を損なわないように忠実な声質を表現させたい。

・定位の正確性

主にセンター定位するボーカルの音像やクラシックのオーケストラ等で中心部に定位する楽器について“位置を確認する”項目。審査用紙に記載された、センターコンソール軸上付近に定位させることが望ましい。また、特にボーカルについては、バックミュージックに対して、前に飛び出る/奥に引っ込む、いわゆる前後方向の定位も確認される。


・過渡応答性
過渡特性やトランジェントとも呼ばれ、時間的な応答特性を指す。信号の波形がなまると立ち上がりと立ち下がりが不明瞭になり、音色にも影響を及ぼす。歪みや位相の乱れが主な原因だが、アンプの信号処理だけでなくスピーカーでも発生し、広い帯域にわたって音質劣化の原因になりやすいため、オーディオシステム全体で優れた特性を確保することが求められる。音楽再生では楽器や声の発音、アタックを明瞭に再現できているかどうかで判断できるが、不要共振の発生などの要因で音の減衰が乱れると連続する音符の前後の分離が悪化し、リズムの切れが悪くなり、テンポ感も伝わりにくくなる。抜けの良さや反応の良さを引き出す上で重要な指標の一つである。

・ダイナミックレンジ

大きい音と小さい音の差の表現。一般的に音楽は静かに表現される時は音量が低くなり盛り上がる時に大きくなる。特にクラシックではピアニシモとフォルテシモの聴感上の音量差がダイナミックレンジを評価する大きな尺度となる。原音に対して忠実かつ抑揚表現豊かに表現させたいがオーバーすぎる表現にならないように注意したい。小音量時には明瞭で、大音量時に歪みなく聞こえると印象が良くなる。

・情景感(帯域バランスに代わるアニソンコース専用項目)

アニソンは元になるアニメと一体不可分だ、という考えから、その楽曲が流れたシーンの情景が浮かぶような再現性がどれくらい得られているかを評価する。キャラソンでは、そのキャラクターが活躍しているシーンや人格、表情が浮かぶように躾けられていれば、高得点を見込むことができるだろう。審査員も、エントラントの皆さんの思い入れに負けないよう、課題曲のアニメをじっくり見込んでから、審査へ望む所存である。

解説:土方久明

情景感のみ解説:炭山アキラ

審査員担当コース

・ディーラープロコース担当(2名審査)
小原由夫先生
土方久明先生

・ユーザープロコース担当
山之内正先生
峯岸良行先生


・エキスパートクラス担当
小原由夫先生

土方久明先生

飯田有抄先生

生形三郎先生


・アニソンコース担当
炭山アキラ先生

審査時の注意事項

・審査時の車内の録画・撮影は禁止です。ドライブレコーダーやレーダー探知機等の電源は必ずOFFにしておいてください。

・審査終了後の審査員コメントの録音は可能ですが、審査員や審査用紙の録画・撮影は禁止です。

・審査員は正確な審査を行うために、一定台数おきに採点確認を行い、採点を見直しています。

・審査中(課題曲の変更時を含む)は、アナログのボリューム調整以外の目的で車内に乗り込む事はできません。


また如何なる理由があっても審査中は調整メモリー等の変更はできません。

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